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【無一郎 side】

真っ暗なところにいた。

辺りを見渡しても、何もなかった。

……誰も、いなかった。

時透 無一郎
「……姉さん……兄、さん?」

不安で、心細くて、ふと気づけば二人の事を呼んでいた。

その時、声がした。

?? ???
『……神様、仏様。

どうか弟を連れていかないで下さい。』

……この、声は。

時透 無一郎
「兄さ、ん……?」

時透 有一郎
『弟は……俺と違って優しい子です。

バチをあてるなら……俺にして下さい。』

時透 有一郎
『人の役にたちたいといつも言っていて……

それを、俺は邪魔しようとしたことだってあった』

その言葉と共に、記憶が走馬灯のように流れ込んでくる。

―情けは人のためならず
人のために何かをしてもろくなことにならない

―教えてやろうか、俺たちにできること
犬死にと無駄死にだよ

―無一郎の無は無意味の無

―無一郎の無は無能の無

―無一郎、聞いて。ゆうはね、決して無一郎を嫌いになったりした訳じゃないの。

―いつでも、いまでも、ずっと無一郎のことを大切に思ってるのよ。

―無一郎が傷つかないように。無一郎が幸せに生きていられるように。

―無一郎を守りたいの。父さんや母さんは、人の為にした行いで死んだ。…無一郎にはそうなってほしくないのよ、ゆうは。

冷たい人だと、ずっと思っていた兄さんのこの声は。

きっと、心の奥底からの本音。

それに気づいたとたん。

―正面に、光が現れた。

銀杏の降り注ぐ、美しい光。

それを見たとき、どうしてか、……兄さんだ、って思った。

光が僕を包み込む。

優しい金色の葉が、包み込む。

その瞬間、確かに聞こえた

―わかってるんだ、本当は。

無一郎の「無」は、無限の「無」なんだ、って―。









……気がつくと僕は、もう暗闇にも光の中にもいなかった。

目の前には蝶屋敷の天井。

そして、僕の左手を握った兄さんの姿があった。

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廣岡唯 - 3だあ (11月21日 13時) (レス) @page28 id: 4e6dbece94 (このIDを非表示/違反報告)
廣岡唯 - 面白いwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwキャラほうたい (11月21日 13時) (レス) @page4 id: 4e6dbece94 (このIDを非表示/違反報告)
るるっち(プロフ) - 優衣さん» ありがとうございます!今思えばキャラ崩壊させすぎでは……?と思う描写も多いのですがそれでも今なお楽しんでくれる方がいるというのは本当に嬉しい限りです。コメントありがとうございました! (9月15日 13時) (レス) id: ef030e36e0 (このIDを非表示/違反報告)
優衣 - このお話よくできてますよ👌すごく面白いですこの作品‼️特に無一郎と有一郎の3分クッキングが面白くてすごく笑いました❗無一郎と有一郎のキャラ崩壊がすごく面白いです✨ (8月27日 19時) (レス) @page44 id: fa32b0552b (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - まじですか!!!!めっちゃ嬉しいです//////楽しみにまってます** (6月29日 16時) (レス) id: 3716f5de4e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:るるっち | 作者ホームページ:http  
作成日時:2020年6月2日 15時

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