【鬼滅の刃】時透の長女は弟達を溺愛したい。【時透兄弟】【短編集】

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【有一郎 side】

……けど。

うまく言えないけど、それでも、失いたくないんだ。

無一郎は、俺の大切な弟だから。

無一郎さえ幸せなら、

無一郎さえ傷つかなければ、

他人なんてどうなったっていいなんて、そう思えてしまう程に。

俺は、無一郎が大切なんだ。

そっと、眠っている無一郎の手を握る。

用いられたという毒はそこまで強くなく、また打たれてすぐだったのでわりとすぐ解毒できたと胡蝶さんが言っていたが、

それでも数日間は眠り続けるだろう、とも同時に言われた。

実際その通りで、今日まで無一郎は目覚めなかった。

何度も胡蝶さんに「大丈夫」だといわれたが、それでもつい、考えてしまう。

―もう２度と、目覚めなかったら―。

握りしめた左手は、暖かかった。

時透 有一郎
「……神様、仏様。

どうか弟を連れていかないで下さい。

弟は……俺と違って優しい子です。

人の役にたちたいといつも言っていて……

それを、俺は邪魔しようとしたことだってあった

バチをあてるなら、俺にしてください」

―わかってるんだ、本当は。

無一郎の「無」は、無限の「無」なんだ、って―。

そう呟いた瞬間。

無一郎が、パチリ、と、目を開けた―。

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