【鬼滅の刃】時透の長女は弟達を溺愛したい。【時透兄弟】【短編集】

時透家の朝のお話。1 ページ2

【有一郎 side】

朝陽がのぼり、鳥の鳴き始める頃、任務を終えた俺は自宅である「春霞邸」へ早足で向かっていた。

春霞邸とは春柱である姉、時透 Aと、霞柱である弟、時透 無一郎、そして俺、時透 有一郎の住む屋敷。

それぞれの使う呼吸から一文字ずつ取った結果の名である。

屋敷につき、「ただいま」と小声で言う。

玄関には散らばった草履、綺麗に揃えられたショートブーツ。二人は長期任務明けだから、今頃ぐっすり寝ているのだろう。

それにしても、いつも靴はしっかり揃えるように、と口を酸っぱくして言っているのに、どうやらまだ無一郎にはその習慣が身に付かないらしい。

姉さんからも何か言って貰えばいいのだろうか。無一郎は、いや無一郎も姉さんの事が大好きだから、そっちの方がいい薬になるかもしれない。

･･･いや、駄目だ。姉さんは楽観的だし無一郎に甘々だし、絶対に「まあまあ、いいじゃない」何て言ってちっとも役に立ってくれそうにない。

小さくため息をつき、無一郎の草履を揃える。

もう十四歳だというのに、本当に手がかかる。

しかし、こんなところでそんなことをぐちぐち言ってはいられない。否、むしろ本当に手がかかるのはここからなのだから。

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