第8話 君の望み ページ9
*
貴「……どうしたの…無一郎くん…
正座なんかして」
無「Aさん
僕に稽古をつけて」
お願いします、と布団の上で頭を下げる無一郎くん。
突然の事で驚いた私はとりあえず頭を上げてと促すしかなかった。それでも頭を上げないので仕方なくそのまま話を続けることにした。
貴「稽古って刀稽古のこと?
まだ完全に傷が癒えてないんだから安静にしてた方が良いんじゃないかな…」
無「……消えないんだ」
貴「消えない?」
無「記憶を失っても鬼への怒りが消えない」
貴「…」
無「お館様から聞いた
Aさんすごく強いんでしょ?」
貴「強くなんかないよ」
無「柱だって聞いた」
貴「そうだけど…」
うーーーぬぬぬ。
無一郎くんは本気だ。私がいいよと言うまで頭を上げないつもりだろう。脅迫に近いぞ。
私は深いため息をついたあと、まだ頭を下げている無一郎くんの前に腰を下ろした。無論正座である。
貴「…無一郎くん
私ね、君には生きてほしいんだ
鬼になんて食べられてほしくないの」
無「……」
貴「だからね、強くなってもらわないと困るんだ」
無「!!」
無一郎くんが下げ続けていた頭を勢い良くあげた。
目を丸くしたその顔を見て私は思わず笑ってしまった。
貴「ふふ、変な顔」
無「稽古つけてくれないのかと思ったから」
そうだね、本当は嫌だよ。
私が稽古をつけてしまったら君はどんどん強くなってしまうだろう。師範としては嬉しいことでも、私としては本当に嫌なんだよ。
だけど無一郎くん。
君が望むならそうしよう。
無「ありがとう、Aさん」
どういたしまして。
その言葉が喉につっかえて出てこないのは何故だろう。
貴「やるからには厳しくいくからね」
無「うん
よろしくお願いします」
有一郎くん。
私は君を助けられなかったのに、君の大切な弟にこれから酷いことをするだろう。だけど許してほしい。
貴「(無一郎くんを守るためだから)」
*
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鬼滅大好きもち - 中学一年の私自身むいくんが最推しなのでこの小説を読んでると心がホワホワします。むいくんと恋仲が私的に思ってないので師範面から過ごす話の小説を探していてやっとお気に入りの小説に出会うことができました!とてもいい作品を作っていただきありがとうございます! (2019年12月27日 10時) (レス) id: 08fa144c19 (このIDを非表示/違反報告)
カオリ(プロフ) - 鬼滅隊じゃなくて鬼殺隊ではないでしょうか?間違いだったらごめんなさい。 (2019年11月17日 18時) (レス) id: f2976f8dda (このIDを非表示/違反報告)
時紀(プロフ) - 岬さん» ひぇ…恐縮です……私も岬さんから温かいコメントをいただけてキュンキュンが止まりません…ありがとうございます…… (2019年9月2日 15時) (レス) id: efc0380dc7 (このIDを非表示/違反報告)
岬 - わぁ……閑話めっちゃ……もう……囁かに甘くてキュンとしてしまいます……むいくんが柱になってからは、夢主さんに甘える機会が少なくなったように見えますし、こんなふうに甘えてるのを見るとキュンキュンが止まりません……ほんとに時紀さんの小説で、生きてます…… (2019年9月1日 21時) (レス) id: 7d9b2a2f36 (このIDを非表示/違反報告)
時紀(プロフ) - 李詩さん» 無一郎くん喋りましたねぇ、動きましたねぇ、かぁいかったですねぇ。作者もとっても幸せです。一緒にキュンキュンしましょう……! (2019年9月1日 0時) (レス) id: efc0380dc7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あたた | 作成日時:2019年7月23日 23時