第7話 懐かしい味 ページ8
*
無「本当に作ってくれたんだ」
貴「え、無一郎くんが作ってって言ったんだよ…?」
次の日、鬼殺隊の隊服の上に割烹着というおかしな格好をしたAさんが来た。
片手に杓文字を持っていて、茶碗にご飯をよそってくれている。
僕の目の前にはお膳に乗せられた美味しそうな煮物やお味噌汁。作りたてなのかまだ湯気がたっていた。
貴「あまね様にお願いして台所貸してもらったんだ
お口に合えば良いんだけど…」
無「……」
食欲をそそる美味しそうな匂い。
箸をとって手を合わせた。
無「いただきます」
そわそわするAさんを横目に煮物を1口食べた。
無「美味しい…」
すごく優しい味がした。
……ひどく、懐かしい味がした。
貴「むっ、無一郎くん!?
どうしたの!?美味しくなかった…!?」
無「…?」
なんでAさんそんなに焦っているんだろう。
美味しくなかったって、さっき僕美味しいって正直な感想伝えたのに。Aさん聞こえてなかったのかな。
貴「泣くほど美味しくなかった…!?
吐き出して大丈夫だよ!!」
無「えっ?」
泣くほど?
Aさんに言われて気付いた。
僕の目からは溢れんばかりの涙が零れていた。
なんで自分は泣いているんだろう。
なんで───、
無「(───"懐かしい"と感じたのだろう)」
貴「無一郎くん?だ、大丈夫…?」
無「うん…」
なんで泣いているのかも分からないから、涙を止めることが出来ない。ボロボロと涙を零しながらご飯を食べ進めた。
そんな僕を見てAさんは笑っていた。
貴「…美味し?」
無「……おいしい…」
貴「そっかぁ」
優しく微笑んだAさん。
それが知らない誰かと重なって見えた。
無「また作ってくれる?」
貴「ふふっ、喜んで」
あとから聞いた話だと、初めに食べた煮物の名前は「ふろふき大根」というらしい。
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鬼滅大好きもち - 中学一年の私自身むいくんが最推しなのでこの小説を読んでると心がホワホワします。むいくんと恋仲が私的に思ってないので師範面から過ごす話の小説を探していてやっとお気に入りの小説に出会うことができました!とてもいい作品を作っていただきありがとうございます! (2019年12月27日 10時) (レス) id: 08fa144c19 (このIDを非表示/違反報告)
カオリ(プロフ) - 鬼滅隊じゃなくて鬼殺隊ではないでしょうか?間違いだったらごめんなさい。 (2019年11月17日 18時) (レス) id: f2976f8dda (このIDを非表示/違反報告)
時紀(プロフ) - 岬さん» ひぇ…恐縮です……私も岬さんから温かいコメントをいただけてキュンキュンが止まりません…ありがとうございます…… (2019年9月2日 15時) (レス) id: efc0380dc7 (このIDを非表示/違反報告)
岬 - わぁ……閑話めっちゃ……もう……囁かに甘くてキュンとしてしまいます……むいくんが柱になってからは、夢主さんに甘える機会が少なくなったように見えますし、こんなふうに甘えてるのを見るとキュンキュンが止まりません……ほんとに時紀さんの小説で、生きてます…… (2019年9月1日 21時) (レス) id: 7d9b2a2f36 (このIDを非表示/違反報告)
時紀(プロフ) - 李詩さん» 無一郎くん喋りましたねぇ、動きましたねぇ、かぁいかったですねぇ。作者もとっても幸せです。一緒にキュンキュンしましょう……! (2019年9月1日 0時) (レス) id: efc0380dc7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あたた | 作成日時:2019年7月23日 23時