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微睡みと甘え/kr ページ1

あまり要素はないけど軍パロ。
⚠︎若干固定夢主の表現あり

✴︎



その日は本当に疲れていた。


やれどやれど尽きない仕事、面倒事を起こす達人である幹部達により増える雑務、そしてシンプルに睡眠不足。

私以外の人間は全員帰ってしまい一人きりになった事務所。
提出の締め切りが差し迫る書類を作成している時、ふと「大丈夫?」と頭の上から柔らかな声が降ってきた。
顔を上げると、眼鏡の奥にある山吹色の瞳がこちらを心配そうに見つめている。

「うわ隈やば。一旦仮眠取った方がいいって」

「……………いや、いいよ。まだ終わってない書類あるし」

彼の忠告に耳を貸すこと無くパソコンに視線を戻して作業を再開すると、「いやよくないでしょ!」と椅子ごと身体を後ろに離された。

「本当に休んだ方がいいって。このままだとマジで倒れるでしょ」

可愛らしい短めの眉を下げ、まるで懇願するようにこちらを見つめる。
私を心底心配してくれる彼には悪いが、出来ればこの書類は今日中に片付けてしまいたい。
どうしたものか、と彼の顔を見つめながらぼんやりと思っていると、ある考えが降ってきた。


「………………じゃあ、他の仕事手伝ってくれない?」

そう口にすると、彼は一瞬困惑した表情を浮かべる。
大方、私の考えを読み取ったのだろう。

私はこのままこの書類を作成し、彼には他の仕事を代わりに行って貰う。
そうすれば、彼のお陰で仕事は減るし、私はこの書類の作成を終わらせることができて休息も取れる。
私からすればとても良い案だが、今すぐ私に休んで欲しい彼にとってはそうでもない。

顎に手を当て、暫く「えぇ……」と唸っていた彼だったが、


「……………………はあ……わかった。手伝う」

その代わり終わったら即寝てね、と付け加え渋々了承してくれた。


「やった、ありがときりやん。じゃあこの仕事お願い」

「はいはい………ってめっちゃ仕事溜まってんじゃん」

次からはこうなる前にちゃんと相談して、という小言に「はいはいはい」と適当に返せばデコピンが返ってくる。

「はいは一回」

「………はーい」

人のこと言えなくないか、と思いつつ返事をすれば、彼は蜂蜜色の目を細めて、書類を持って自分のデスクに足を運んだ。
その後ろ姿を眺めつつ、睡眠不足の頭でぼんやりと思う。


(………………本当、人のこと言えない癖に)

彼の眼鏡越しに一瞬見えた目の下の隈には、気付いていないふりをした。

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ナエ - もちねり。さん» コメントありがとうございます!花言葉めちゃ素敵ですよね…衝撃でした… (5月11日 21時) (レス) id: 3282b3d8ed (このIDを非表示/違反報告)
もちねり。(プロフ) - めちゃめちゃ好きです!お気に入り登録失礼します…アンスリウムの意味と別名凄いですね!?こっちにまで衝撃が… (4月12日 9時) (レス) id: a81be2117a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ナエ | 作成日時:2024年4月6日 9時

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