67,会いたい ページ17
倉木「頭でわかっていようと
ショックな時はショックなんですよね
どうしても」
碧井「はい…」
倉木「そんな時にも、美味しいお酒が効きますよ。
コレ、最近できた俺の新作カクテルです!」
碧井「ありがとうございます…」
落ち込みモードに入ってしまった俺を
倉木さんが励ましてくれる。
彼女には『了解』と返信したあとに、出来るだけ
不安を悟られないよう、スタンプも追加して送った。
…それから既読も付かない。
今日は久々にかなり酔っ払った。
普段はこんなになるまで飲まないのに。
碧井「ありがとうございました。…お会計お願いします」
0時前まで、倉木さんに相手してもらっていた。
彼のおかげで気持ちが少し軽くなったが
これ以上飲んでいたら、俺が潰れてしまう。
倉木「気を付けて帰ってくださいね」
碧井「あはは…歩けなくなるまでは飲んでませんよ」
バーから出ると、冷たい空気が頬を撫でた。
節分は終わってもまだまだ寒い。
…でも、気持ちいいか。
酔いで熱くなった体が冷まされていくのがわかる。
碧井「………」
会いたいな。
一人になった途端に、Aちゃんに会いたくなって…
落ち着かない気持ちのまま彼女の家に向かっていた。
今行っても彼女は家にいないかもしれない。
というか…そもそも迷惑になってしまうかも。
それでも、会いたい。
会って…抱き締めて…好きだと言いたい。
Aちゃんの家の近くまで歩いたところで
進行方向にある交差点を、車が通過するのが見えた。
碧井「あ…」
車の助手席には、Aちゃんが乗っていた…。
しかし俺は止まることなく彼女の家に向かう。
どうしても、会いたいという気持ちが
抑えられなくなっていたんだ。
車は家近くのコンビニの駐車場に停まっていた。
そこには
車から降りたAちゃんと水無瀬さんの姿もある。
碧井「…っ」
Aちゃん…お洒落してる?
普段もお洒落だとは思うが…
コートの下から見えているレースっぽいスカートが
普段の彼女の服装とは違う気がする。
二人の姿を確認してすぐ、俺は建物の影に隠れた。
碧井「はぁ…」
声が響かないように息を吐く。
…なんで来ちゃったんだろう。
二人でいる所に突然乱入も無理あるし。
会いたかったのは確かだけど…これじゃあストーカーだよ…。
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作者名:麦兎 | 作成日時:2021年10月21日 0時