53,沈黙 ページ3
A「ごめん…」
碧井「…っ」
二人の間に沈黙が流れる。
碧井「………」
フラレてしまった…。
「お帰りなさいませ」
A「あっ…」
それから一言も喋れないまま、観覧車から降りる事に。
里美「やっぱりここでしたね!」
倉木「よく見えたな」
観覧車乗り場の近くで
里美さんと倉木が俺達を待っていた様だ。
里美「ちょうど
A「そうなんだ!意外と見えるモンなんだねぇ」
……キスした所は、見られてないみたい。
あの時は周りの目とか忘れてたから…。
A「帰ろっか!」
倉木「そうだな」
閉園時間になるので、遊園地を出た。
再び地下鉄に乗り、駅に着いたらまた乗り換える。
行きよりは空いているが、座る程の余裕は無い。
里美「私、次の駅で降りますね。
今日はありがとうございました!」
里美さんが先に降りて、その次の駅で倉木さんが降りる。
俺達の家の最寄りはさらにその次の駅だ。
A「………」
碧井「………」
沈黙が戻る。
二人がいる間は何事も無かったように
明るく振る舞っていたのだが……無理させてしまったな。
駅に着き、並んで歩く。
碧井「…今日も送っていい?」
A「うん…そうしてほしい」
今日は流石に断られると思ったけど…。
彼女が良いと言ってくれるなら、送りたかった。
一応、外は暗いし…何かあっては困るから。
帰り道、やはりお互い喋らずに静かなままだったのだが…
A「ごめんね。…人が多い場所だと、話し辛くて」
碧井「!」
彼女の声が、沈黙を破った。
A「本当はすぐに言うべきだったんだけど…
なんていうか、突然で…何をどう話せばいいのか……」
碧井「うん…。困らせちゃったよね…ごめん」
A「その、私もね…碧井くんと一緒の時間が好きなの」
碧井「ありがとう……」
フラレてしまった俺に対して、
フォローしようとしてくれているのだと思った。
A「私がバーで泣いた時、碧井くん…
強がらなくていいって言ってくれたでしょ?
それが凄く嬉しくて…キュンとしちゃった」
ちょっと照れるように笑う彼女が、やはり可愛くて。
フラレてすぐでも…つい、ときめいてしまう。
A「おかしな提案だと思うんだけどさ…」
碧井「うん…?」
A「お試しで、付き合ってみない?」
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作者名:麦兎 | 作成日時:2021年10月21日 0時