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第四章:孤独の葛藤/再デビュー ページ33

A「他に変化は…あっ」

クローゼットの脇に靴が増えてる。

A「これも『毒林檎』の衣装だ」

さっきは無かったが、
部屋の変化で増えたみたい。

A「あとは…」

プルルルルッ

A「うお!?」

部屋に備え付けている電話が鳴った。

受話器を取り、耳に当てる。

A「もしもし…」

『もしもし?山本です。
以前お話した再デビューの話が本格的に
進められそうなんです。
また昔みたいに一緒に仕事しましょうよ!』

A「えっ、あの…山本さん?何を…」

『ツバサ事務所はいつまでも貴方の帰りを
待っています!良い返事を期待していますね』

ガチャン

A「えぇ…」

一方的に話して切られた。

この部屋で起こることは現世の再現だろうから…
私の声は届いていないとみた。

A「…再デビュー」

これが記憶なら、
お客様本人が受けた電話のはず。

お客様が元アイドルなら電話の意味はわかる。
でも、お客様は松科琴美ではなかった。

かといって、他のアイドルに関するものは
全く出てこない。

A「どういうことだ…?」

悩んで天井を仰ぐ。

すると視界の隅に小箱のようなものが映った。

A「うわ…厄介な場所」

視界に映った小箱は窓の外にあった。

フックの付いた小箱が、バルコニーに設置された
雨避け用の屋根に引っ掛かっている。

普通に背伸びしても届かないし
椅子に登ってもダメだった。

A「身長があと10cmあれば…!」

小柄って可愛い扱いしてもらえるけど
結構不便なんだよね。

別に可愛くなくていいから2mくらい身長欲しい。

何か棒を使って落とす作戦も考えたが…

A「下手したら海に落ちるな」

フックで引っ掛けているだけの小箱を
棒で突いて落としたところで、柵の外に落ちれば
下は海なので回収不可能になる。

A「棒よりは成功率高い…かな?」

他に方法は思いつかない。やるしかない。

私はバルコニーの柵の上に登った。

慎重にバランスを取る。

大丈夫、いける。

A「よし、取れた…!」

見事、小箱回収に成功。

あとは降りるだけ……

ズルッ

A「えっ」

足が滑った。



ドサァ


A「うっ……あれ?」

生きてる。

てっきり、あのまま落下して
海面に叩きつけられるかと思ったのに。

怪我一つ無い。

痛みはほとんど無く、なんなら温かい気がする。




阿鳥「何してたんだ!!!!!」

A「!?」

頭上から怒鳴り声がした。

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作者名:麦兎 | 作成日時:2019年6月25日 0時

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