019 横顔 ページ19
.
人混みから抜け出すため、あえて絶好のポイントを避けた。
花火が真正面には見えないけれど、ここは人が少ない。さっきみたいにあちこちから下駄の音が鳴り響くこともない。
２人きりになりたいと言ったのに、何も言わない彼。
夜空を見上げたまま、じっと。
そして始まる打ち上げ花火。
大輪の花が、いくつも夜空に咲いた。
ちらりと彼を見ると、横顔が花火に照らされてとても綺麗だった。気づかれないようにもう一度空を見上げると、今度は右手に温もりを感じて、また彼のほうを見てしまった。
空を見上げたまま、大きな左手でわたしの右手をぎゅっと握ってくれる大貴くん。
なんでもないような顔して。ずるいなぁ。わたしはこんなにドキドキしているのに。
大貴｢好きだよ。｣
｢っ、｣
もう花火なんて、頭にない。
いつもより少し低い大貴くんの声が、胸に響く。こんなに大きな音の中で、まるでその声だけしか聞こえないような。
照れているのか、一切こちらを見ない。
そして花火に照らされた横顔が、ぽつりと呟く。
大貴｢んな不安そうな顔すんなよ。｣
｢………｣
大貴｢大丈夫。絶対、俺からは離さないから。｣
今も、これから先も。ってそういう意味なんだろう。少し恥ずかしそうな大貴くんが、愛おしくてたまらなかった。
なんて、本当はわたしのほうが恥ずかしくて仕方なくて。返事をする代わりに、繋がれた手をぎゅーっと握り返した。わたしが視線を逸らしてからようやく、こっちをちらりと見る大貴くん。嬉しそうに鼻をすする彼が、わたしも大好きだった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 884人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
いく(プロフ) - パレードが始まるが頭の中に流れました！！ステキなお話をありがとうございます。 (2020年8月9日 10時) (
レス) id: bf142477e0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみ - むぎさんの作品まじで大好きです。何億回でも読めます。 (2020年3月24日 22時) (レス) id: 62a0eb8cec (このIDを非表示/違反報告)
じゃん - 受験終わったあとの楽しみにしてて、今日読み終わりました。相変わらずむぎさん最高すぎます。大好きです。 (2020年3月24日 22時) (レス) id: 2c5e964fc3 (このIDを非表示/違反報告)
梨(プロフ) - 好きすぎました！！めちゃくちゃ泣いたしめちゃくちゃドキドキしたし有岡くんが有岡くんで、このお話大好きです！ (2020年3月14日 16時) (レス) id: d970aa184c (このIDを非表示/違反報告)
ねこ。(プロフ) - 完結おめでとうございます！めちゃくちゃ幸せでした！またいつか機会があれば、未来に戻ってから結婚までのお話も気になるので、読めたら嬉しいな〜と思いました！ (2020年1月1日 13時) (レス) id: f99e88b778 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：むぎ
| 作成日時：2019年12月1日 12時
