スクラブ男子 2nd season (２)

066 それが夫婦 ページ17

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名取side









緋山｢言ってやんなよ、夫婦の先輩として。｣






藤川｢んぇ、俺？｣









バシっと背中を叩かれた藤川先生が、うーん…と考えはじめる。2人は喧嘩したりしないんだろうか。どちらかというと藤川先生が折れてそうな気がするけど。









白石｢藤川先生のところは藤川先生が謝る一択じゃないの？｣





藤川｢ん、まあね。でも俺だって意地張る時もあるよ。｣





緋山｢あるんだ(笑)｣









テンポ良く進んでいく会話に、入っていく余地がない。









藤川｢でもさ、名取。夫婦になったら、彼氏彼女だった頃とは関係を変えなきゃいけないんだよ。｣





名取｢……変える、？｣









女子2人をうまく言いくるめて、俺へのアドバイスを始めてくれた藤川先生。へぇー、って緋山先生や白石先生もわざとらしく生徒みたいに聞いている。









藤川｢付き合ってる頃はさ、我慢なんだよ。｣





名取｢……我慢、｣





藤川｢ちょっとぐらいのことで文句言ってちゃ、この人めんどくさい、すぐに嫌われてさようならだよ。だけど夫婦は違う。簡単に離れるような関係じゃない。生涯愛するって誓った人だろ？だったら、どんな小さなことも相手に伝えなきゃ。｣









ひとつひとつ、耳に入ってくる言葉の欠片。俺になかったものを、少しずつ埋めてもらっているような。









藤川｢こんなことが不安、こんなところが嫌だ、そんなのひっくるめて全部伝えるんだよ。｣





藤川｢それを聞いてそっぽ向くのは夫婦じゃない。相手のこと受け入れて、話してくれてありがとうって。それが夫婦だよ。｣









じんわり滲んで、心に染みていく。


小さなこと、大きなこと、俺は何ひとつ話せていないのかもしれない。









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