スクラブ男子 2nd season (２)

060 ここにいてくれること ページ11

.









そして、そこへやってきたのは









芹沢｢あれー？どうしたんですかー？｣






名取｢……………、｣









くるくると毛先をいじりながらわたしたちを見つけて、なぜだか嬉しそうな芹沢さんと、無表情で、ただ冷たくこっちを見つめる彼。

出てこられたんだね。よかった。ほんとうによかった……。彼に抱きつきたい感情を抑えつつ、岡本くんから離れようともう一度足に力を入れた時。ふっと腕を掴まれたと思ったら、岡本くんから引きはがすようにその腕を引っぱられて。









名取｢………何してんの、｣





｢……っ、｣









お腹のこともあるし、もちろんそこまで乱暴じゃないにしても。荒々しくわたしを扱う彼に、そこにいるみんなが騒然とする。









名取｢………何してんの、って。｣





｢…っ、よか、った…………無事で、…よかっ、た…｣









ぼやけた視界の中で必死に彼を捉え、その手を握って、ここにいてくれることを噛み締めていたのに。

彼は一向に笑わない。嬉しそうでも、安心した様子もない。冷たい態度には気づいていたけれど、今はそんなこと考えられないし、ただ安心できたこの気持ちを彼にぶつけることが精一杯だった。









｢ずっと、ずっと心配…｣





名取｢嘘つくんじゃねーよ。｣









わたしの言葉を遮った彼は、どこまでも冷たい目線で、わたしをそっと見下ろした。









.

061 わたしと、この子より→←059 ぷつりと糸が切れたように

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す