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116. ページ24











「…中也さん」






名前を呼ばれて、中也は書類から顔を上げた。

書類が沢山乗った机の前には、何時の間にか彼の部下が立っていた。


細身のパンツスーツを着こなし、赤茶の髪の毛を結い上げた女性。

彼女の名前は上野。

中也の補佐をする、云わば幹部補佐の役職に就いている。






「おう、如何した上野」


「ッ…あ、えっと、これ届けに来ました」






上野は一瞬言葉を詰まらせた後、抱えていた書類の束を差し出した。

中也は其れを受け取り、「流石。仕事早いな」と笑った。







「………あの、中也さん」

「何だ」

「凄い変な事聞いて善いですか?」

「内容によるけどな。云ってみろよ」






報告書に目を通し乍ら、中也が云う。

上野はパンツスーツを握り締める。






「……彼女さんの事、好きですか?」






紙を捲る中也の手が止まる。

そして、パチパチと瞬きを繰り返して、






「…………は?」






と、珍しく困惑した表情を見せた。

それでも、対する上野は真剣な顔をしている。






「何だ、藪から棒に…」

「だから私は変な事って云いました。
……お願いです。答えて下さい」






なんて突飛な質問なんだろう。

彼女自身もそう思っていた。


……でも、彼女にはこの質問をしなければならない理由がある。



中也は質問の意味を考えようとしたが、それも諦め、暫くして







「……あァ」






と視線を外し乍ら云った。

それを聞いて、上野はぐっと奥歯を噛んだ。

まるで何かを抑えるように。






「…………有難う御座います。済みません突然」






でもすぐに笑みを浮かべて、頭を下げた。

そして中也の呼び止める声にも振り返らず、足早に執務室を出て行った。


彼女が出て行った後、

訳が判らないまま愛の告白をさせられた中也は「何だったんだ…?」と呟いた。






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麦子(プロフ) - キティさん» 有難うございます、そちらも近いうちに完結させます! (2018年4月28日 20時) (レス) id: 564537986a (このIDを非表示/違反報告)
キティ(プロフ) - いつも楽しく読まさせていただいてます!deadAppleの方の続き、気になります! (2018年4月25日 0時) (レス) id: 3776331f45 (このIDを非表示/違反報告)
麦子(プロフ) - rikoriko51さん» やっぱり何度も観たくなっちゃいますよね! (2018年4月16日 7時) (レス) id: 564537986a (このIDを非表示/違反報告)
麦子(プロフ) - 高坂美月さん» 有難うございます、かっこいいと思って貰えて嬉しいです!頑張ります!(*^^*) (2018年4月16日 7時) (レス) id: 564537986a (このIDを非表示/違反報告)
rikoriko51(プロフ) - 私は映画を二回見に行きました。 (2018年3月21日 20時) (レス) id: a789258bf1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:麦子 | 作成日時:2018年3月11日 14時

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