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109. ページ17

You side








『ん……、?』






───白。


ぼやける視界の中、先ず目に入ってきたのは白だった。





『私………』




ゆっくりと瞬きを繰り返す。

直ぐに思い出したのは…薬品の匂いと男の笑顔。


「誘拐されたんだ」

それを思い出した途端に、弾かれたように起き上がる。





『───なに、ここ……』





そして、自分がいる場所に目を見開いた。


高級そうな家具とカーペット、細かな模様が描かれた壁、キラキラ輝くシャンデリアみたいな照明。

そして今私が寝ていた、天蓋付きの大きなベット。

まるで…ホテルのスイートルームみたい。


普通誘拐されたら、倉庫か物置きのような場所で監 禁されるとばかり思っていたから、かなり驚いた。

如何してこんな処に…





「やァ、目が覚めたかい?」

『!』





突然後ろから響いた声。

振り返ると、其処にはあの男がいて。





『……』


「だからそんな怖い顔しないでよ。折角の綺麗な顔が台無しだ」





そう変わらない気持ち悪い位の笑顔を顔に貼り付けたまま、男が近付いてくる。

後退ろうとして、やっと自分の格好に意識が向いた。





『何これ…』





今日着ていた服は何処かへ行き、代わりに真っ白なワンピースを着せられていた。

どうも先刻からスースーすると思っていたら、背中が大きく開いているデザインらしい。





「…思った通り。よく似合ってるよ。
シンプルなデザインだけど、中々良いだろう?」




まあ値段もそれなりにするんだけど、と肩を上げてみせる男。





「それでも、君の値段に比べたらそんなのも駄菓子程度だけどね」




ピク、と身体が反応する。


私も莫迦じゃない。

この時点で予想はついた。





『……私を如何するの』

「これから君は競売にかけられる。
多分、数千万は下らないねえ」


『は……』





ニヤニヤとまた気持ち悪い笑みを浮かべる男。

予想通りではあったけれど、その額に唖然とした。





『何で…私にそんな額払う人なんている訳が、』

「君はもう少し自分に自信を持った方が良い」





呆れたように溜め息を吐く男。

そしてじっと私を見詰めた。





「学生とは思えぬ美しい容姿。そしてその賢い頭と強力な異能。しかもポートマフィア幹部の恋人ときた。そりゃあ欲しがる人も多い訳だ」




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麦子(プロフ) - キティさん» 有難うございます、そちらも近いうちに完結させます! (2018年4月28日 20時) (レス) id: 564537986a (このIDを非表示/違反報告)
キティ(プロフ) - いつも楽しく読まさせていただいてます!deadAppleの方の続き、気になります! (2018年4月25日 0時) (レス) id: 3776331f45 (このIDを非表示/違反報告)
麦子(プロフ) - rikoriko51さん» やっぱり何度も観たくなっちゃいますよね! (2018年4月16日 7時) (レス) id: 564537986a (このIDを非表示/違反報告)
麦子(プロフ) - 高坂美月さん» 有難うございます、かっこいいと思って貰えて嬉しいです!頑張ります!(*^^*) (2018年4月16日 7時) (レス) id: 564537986a (このIDを非表示/違反報告)
rikoriko51(プロフ) - 私は映画を二回見に行きました。 (2018年3月21日 20時) (レス) id: a789258bf1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:麦子 | 作成日時:2018年3月11日 14時

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