91. ページ46
・
____________探偵社、会議室。
「有島武郎、59歳。職業は○○高校の英語教師。とても頭が良く、大学時代は理工学部に所属していたようです」
「はあ…成る程。だから爆弾も作れちゃったって訳か」
隣に座る叶絵が納得した様に呟いた。
私の反対側には深雪が座っている。
「そして、動機ですが……先ずはこれを」
そう云って国木田さんが机に置いたのは…新聞の切り抜き？
深雪がその見出しを読み上げる。
「��女子高生自 殺、学校でのいじめ原因か��って、これ……」
「……ああ。
これは、十五年前○○高校で実際にあった事だ」
『…ッ、』
鋭く息を飲む。
………知らなかった。
自分の学校でこんな事があったなんて。
「そして、自 殺した��有島春子��は、有島武郎の娘だ」
「…復讐、って事だね」
向かい側に座る太宰さんが静かに云う。
「彼は、娘がまだ幼い内に妻を亡くしている。
そして…男手一つで大切に育ててきた愛娘まで失った」
「いじめがあったと抗議しても、学校は頑なに認めず、最終的には事故として片付けられたらしい」
『……酷い』
ぎゅう、とスカートを握りしめる。
自分の通う学校だとしても、其れは許される事じゃない。
そんなの…間違ってる。
「……じゃあ、何で最初から学校を狙わなかったンですか？」
「調べてみて判った事なのだけれど、爆破したのはいずれも、当時春子さんをいじめていた生徒達を狙ったものだったのだよ」
「……娘を死に追いやった者達を屠り、最後に…あの学び舎を丸ごと破壊するつもりだった……」
敦くんの声が、妙に静かに響いた。
��遂に私の恨みは晴れる。社会の悪は取り除かれるのだ��
あの予告状の文は、そういう意味だったのか。
最愛の娘を奪った憎いあの学校で、先生はずっと笑顔を振りまいていたかと思うと、胸が押し潰れそうだった。
あの優しい笑顔の裏で、どんな事を思っていたのだろう。
「………でも、きっと捕まえて欲しかったんだろうね」
『え……？』
乱歩さんが、ラムネの瓶を片手に話し出す。
傾けた瓶の中で、カラン、とビー玉が鳴った。
「だって……この予告状。時間と場所まで書いてある。
此処までするって、軍警が動く事を承知でやってるでしょう。
そして、この探偵社が動く事も予想していた」
『え…何でです？』
「そりゃあ……君がいるからさ。A」
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 473人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
麦子(プロフ) - Aliceさん» すみません、ご指摘ありがとうございます！ (2018年1月13日 16時) (
レス) id: 564537986a (このIDを非表示/違反報告)
Alice(プロフ) - 毎度楽しく読ませて頂いております。profileの最後、湊かなえさんの作品が｢花の鎖｣ではなく｢八月の雪｣になってますよ (2018年1月13日 15時) (レス) id: 9007c89a5c (このIDを非表示/違反報告)
麦子(プロフ) - 美玲さん» はい私もおかしいと思ってました笑 右腕だけを絡ませた事にしておきます笑 (2017年12月6日 17時) (レス) id: 564537986a (このIDを非表示/違反報告)
美玲 - すごく余計な事かと思うのですが、５０話の”彼の右腕に自分の腕を絡ませれば”の部分、主人公は左腕を怪我しているので、右腕に腕をからませえば、左右どちらでも中也さんの服に血がついてしまうのではないでしょうか？(マフィアは気にしないと思いますが) (2017年12月6日 13時) (レス) id: 11b58ea605 (このIDを非表示/違反報告)
麦子(プロフ) - 紫 LizZ(カレーの妖精愛してる)さん» わーありがとうございます！頑張ります！ (2017年12月4日 23時) (レス) id: 7a9f7e3baa (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：麦子
| 作成日時：2017年10月1日 20時
