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50. ページ3





太宰さんの目が私の左腕に向けられる。

つられて私も見ると…


『うわ…』


思わず声に出すくらい、酷い事になっていた。

擦っただけだと思っていたけど、シャツが大きく破けて、

白かったシャツは真っ赤に染まっている。



「今すぐ手当てしたいところだけど…もう少し待ってくれるかな』

『?はい…』

「もう直ぐ着く筈だよ」

『…??』



辺りを見回し始めた太宰さん。

着くって何が…

と、声に出そうとした時。



「オイ太宰!あれ如何いう意味……」



耳に響く声。

その言葉は途中で途切れた。



『……え』



声のした方を見ると、其処には予想もしてなかった人がいて。



「A…!?」

『中也さん!?』



何で、中也さんが。

太宰さんの方を見ると、にこっと笑った。



「私より、中也の方が適役でしょ?」



…全く、この人は…


近くまで来た中也さんは、私の怪我を見て目を見開く。



「なっ…お前この傷如何したんだよ!?」

『それはー…ええっと、』


「通り魔に襲われたんだよ。能力者だったから私が助けたって訳」

『そ、そう!そうなんですよ!』



返答に困って太宰さんの方を見ると、助け船を出してくれた。

当分はそういう事にしておこう。



「未だ其奴はここら辺にいるのか?」

「いや、もう逃げただろうね」

「チッ…いたらぶっ殺してたのによ」

『物騒な事云わないでくださいよ…』



殺気立つ中也さんを宥めていると、


「それより、Aちゃんの手当てしてあげて。出血が多いんだ」


と背中を押してくれた。

…今日は太宰さんに感謝しかない。

そうだな…と元に戻った中也さんに手を引かれる。


立ち去る前に、後ろを向いて口パクで「ありがとうございました」と伝えておいた。




手を振る太宰さんが見えなくなった頃、中也さんが口を開く。



「詳しい事は後で聞く」

『…はい』



隣の中也さんの顔を見る。

綺麗な横顔が、若干仏頂面になっている。



『……やきもち焼いてます?』

「…焼いてねえ」

『ふふっ、そうですか』



ほーんと、判り易い人。笑



『大好きですよ、中也さん』



と彼の腕に自分の右腕を絡ませれば、



「ンだよ突然…」



とそっぽを向いてしまった。

それでも、腕は振りほどかない。



『照れてるんですかぁ〜?』

「照れてねェ」

『耳赤いですけど?』

「…手前…口塞ぐぞ」

『え』



今度は私が赤面する番だった。



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麦子(プロフ) - Aliceさん» すみません、ご指摘ありがとうございます! (2018年1月13日 16時) (レス) id: 564537986a (このIDを非表示/違反報告)
Alice(プロフ) - 毎度楽しく読ませて頂いております。profileの最後、湊かなえさんの作品が「花の鎖」ではなく「八月の雪」になってますよ (2018年1月13日 15時) (レス) id: 9007c89a5c (このIDを非表示/違反報告)
麦子(プロフ) - 美玲さん» はい私もおかしいと思ってました笑 右腕だけを絡ませた事にしておきます笑 (2017年12月6日 17時) (レス) id: 564537986a (このIDを非表示/違反報告)
美玲 - すごく余計な事かと思うのですが、50話の”彼の右腕に自分の腕を絡ませれば”の部分、主人公は左腕を怪我しているので、右腕に腕をからませえば、左右どちらでも中也さんの服に血がついてしまうのではないでしょうか?(マフィアは気にしないと思いますが) (2017年12月6日 13時) (レス) id: 11b58ea605 (このIDを非表示/違反報告)
麦子(プロフ) - 紫 LizZ(カレーの妖精愛してる)さん» わーありがとうございます!頑張ります! (2017年12月4日 23時) (レス) id: 7a9f7e3baa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:麦子 | 作成日時:2017年10月1日 20時

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