ちょっと強くなりすぎた。2【hpmi】

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『なるほど…女性恐怖症を克服する為にホストに……』





神宮寺先生と観音坂さんから全てを聞いた。

一二三さんはとある事が原因で女性恐怖症になってしまい、それを治す為、敢えてホストという道を選んだらしい。

しかし一向に恐怖症は治らず、スーツを着ると人が変わるようになってしまったと…





『…苦しいですよね。分かります』





静かに目を閉じる。


今でも覚えているあの時の光景。

もう随分時間は経つけど、未だに忘れる事はできない。





『私も、男性恐怖症になった事があるんです』


「え…」





昔の話ですよ、と笑う。

観音坂さんの後ろにいる一二三さんの震えが止まった気がした。

きっと目を合わせるのも怖いだろうから、私はそっちを見れないけど。





『私にも幼馴染がいて、家族でさえ怖くなってしまった私の側に居てくれました。理解のある人が側に居てくれるって、すごく安心できるんですよね』





私は一二三さんほど重症ではなかったけど、聖羅が居たから克服できた。

一二三さんには、観音坂さんが居る。

だからいつかきっと、一二三さんも克服できる時が来ると良いな。





『って、ごめんなさい自分語りしちゃって…私そろそろ帰りますね！』





静かになってしまった空気を吹き飛ばすように明るい声を出す。

同じ部屋に居る事の苦痛は私も経験済みだ。

それに一郎さん達もイケブクロで待ってるはず。





「また何かあったら連絡してね」

『はい、速攻で先生に電話します』

「怪我、お大事に…！」

『ありがとうございます、観音坂さんも体調には気を付けてくださいね』





お2人にそう返して、なるべく一二三さんに近付かないように気を付けながら診察室から出た。


帰ってからはやる事が沢山だ。

一郎さんへの報告と、警察への連絡と…

ああ、この怪我を見たら翼は何て言うだろうか。

事務所に乗り込んで全員ぶちのめしそう…あの子ならやりかねない。


診察待ちの人達からの視線を感じながらも受付を通り過ぎて、先程入ったばかりの病院を後にした。

ちなみに神宮寺先生のご好意で今回の治療費は0円だ。

ありがたやありがたや。




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