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『…モデル、ですか?』
「はい……実はもの凄く困っていまして…」
いきなり話が飛んでしまって申し訳ない。
何故こんな話になったのか、少し説明をさせてもらいたい。
自己紹介の後、二郎くんから聞かされたのはここへ来る事になった本当の理由だった。
は?本当の理由?
って思ったでしょう。私も思った。
でもその際に「騙すような事して本当にごめんなさい!!」とテーブルに頭をぶつける勢いで謝られたので仕方なく許した。
既に私の中では二郎くんは弟ポジションだからね。
さて、話を戻そう。
二郎くんのお兄さん、一郎さんは「萬屋ヤマダ」という何でも屋を経営しているらしい。
そんな彼に先日…というか昨日、知人から依頼があったそうだ。
その内容は、
「今週末に開かれるファッションショーのモデルを探して欲しい」
という事らしい。
何でもモデルの女の子が階段から落ちて脚を骨折してしまったようで、急遽代わりの子を探す事になったのだとか。
それで、そのモデルを私にやって欲しい、と。
『…何でそれが、一郎さんの所へ?』
「ショー用の衣装がまだ出来上がっていなくて、代わりのモデルを探す暇もないらしくて…」
『なるほど…』
萬屋っていうのも大変だな、と心の中で一郎さんに同情する。
それにしても、今週末と言ったら聖羅とシブヤへ遊びに行く約束をした日だ。
流石に親友との約束を放って行く訳には…
『ちなみに、その依頼主って誰なんですか?』
「飴村乱数っていう奴で、デザイナーなんだ」
『飴村…あ』
今日の昼に聖羅から散々聞かされた話を思い出す。
飴村乱数って、確か元The Dirty Dawgの人だ。
名前だけは知っているその伝説のチームの中に、一郎さんもいた。
解散しても交流は続いているみたいだ。
『あー…なるほど。はい。分かりました、受けましょう』
「本当か!?」
私がそう頷くと、一郎さんは心底嬉しそうな顔をした。
私もどうやら困っている人を放って置けない質らしい。
一郎さんの太陽のような笑顔に心を浄化されつつ、親友の事を考える。
「TDDは基本的に箱推しなんだけど、私の最推しはやっぱり乱数ちゃんかな!」
と語っていた彼女へは飴村さんのサインか何かで許してもらおう。
『ちなみに、そのファッションショーってどこでやるんですか?』
「ああ、ヨコハマの会場らしいぞ」
『……え?』
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麦子(プロフ) - いまづきさん» ありがとうございます。頑張ります(*^^*) (2018年12月6日 18時) (レス) id: 7a9f7e3baa (このIDを非表示/違反報告)
いまづき(プロフ) - 早く続きが読みたいですね! 応援してます! (2018年12月5日 23時) (レス) id: 14b35c0538 (このIDを非表示/違反報告)
麦子(プロフ) - すらいみーる@元もちづきさん» リクエストありがとうございます…!了解しました! (2018年11月26日 18時) (レス) id: 7a9f7e3baa (このIDを非表示/違反報告)
すらいみーる@元もちづき(プロフ) - リクエストなんですが、主人公ちゃんと二郎が二人っきりでいちにいが帰ってくるまで留守番するお話読んでみたいです…!! (2018年11月25日 23時) (レス) id: 3b52443fef (このIDを非表示/違反報告)
麦子(プロフ) - 錐さん» ありがとうございます。とても嬉しいです。 (2018年11月23日 23時) (レス) id: 7a9f7e3baa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:麦子 | 作成日時:2018年9月22日 11時