JKとちびっこマフィア【番外編】

Summer vacation! ページ31

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『…夏休み、ですか？』





とある夏の暑い日、突然春野から入った連絡。

聞けば、探偵社の空調が故障した為、修理が完了するまでの三日間は休みになるという事だった。

まあ既に学校の夏休みに入っているAにしてみれば余り変わりはないのだが。





『休みかー……』





通話を切った後、ソファへ身体を預け天井を仰ぐ。

休みになった三日間はバリバリ働いて稼ぐ心算だったので当然予定は入れていない。

学校へ行って勉強するのも良いが、高校最後の夏だ。

今のうちに遊んでおきたい気持ちもある。





『…中也さーん』





キッチンでマグカップを洗っている恋人へと視線を移す。

普段なら仕事に行っている時間だが、今日は午後からの出勤らしい。

まだ部屋着のままの後ろ姿に声をかけると、洗い物を終えた彼が振り向く。





「何だ？」

『んー……どうせ社畜の中也さんには休みなんて無いですよね』

「何だよいきなり、ポートマフィアをブラック企業みたいに云うな」

『だって事実そうじゃないですか？』

「……まあ否定はしない」

『ほら』





非合法組織とは云え、ポートマフィアは休日が少な過ぎる。

残業どころの話じゃない時間の業務延長で徹夜なんてざらにあるし、

漸く休みを取れてゆっくりできると思ったら緊急の呼び出しで結局仕事、なんて事も良くある。

ここ数ヶ月のまともに休めた休日なんて数える程だろう。

文字通り休む暇も無く横浜の街を奔走している彼が何時ぶっ倒れるか心配でならない。





「休暇という名のエリス嬢のご機嫌取りならあるぞ」

『何ですかそれ』

「エリス嬢が海に行きたいんだと。首領は午前中の会議放り出して水着選びに行っちまうし、勝手に予定は組まれるし、もう行くしかねェだろ？」

『わあ……』





午後出勤になった訳はそれか。

今頃デレ顔で水着を選んでる森が容易に想像できる。

遠い目で何処かを見詰める中也は、矢っ張り何処までも可哀想な社畜である。




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