そーこくといっしょ! ページ4
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とある日の探偵社。
「……拙いな」
「拙いね」
「拙いですね」
社員の面々は揃って同じ事を口にした。
そっと顔を向けた先の接客用のソファには、一人の幼女がナオミと話をしていた。
濃藍の髪の毛に、ぱっちり二重の藍色の瞳。
誰が如何見ても美少女だと思うであろう容姿。
……そう、この幼女は紛れもなくAであった。
「兎に角、あの異能者を探してはいるが……」
「それにしても、幼児化の異能だなんて趣味悪過ぎですよね…」
『みつけたらとりあえずボコボコにしてください』
「うわっ、Aさん!」
突然会話に入って来たAを社員達が見下ろす。
逆に上を見上げるAは、腰に手を当てて眉に皺を寄せる。
「…Aちゃん、折角可愛い見た目なんだからもう一寸可愛い事云ってみない?」
Aと同じ目線になるようにしゃがむ太宰。
それに対してAは、冷え切った瞳を向けた。
『はあ?そんなこといってるよゆうないんですけど』
「わー小さくなってもAちゃんだ…」
今日、敦との調査中に追っていた異能者にかけられてしまったこの厄介な異能は、
太宰が触れても解除ができず、異能者本人を捕まえなければ如何にもならないらしい。
幼女化だなんて何処かのロリコン首領じゃあるまいし、悪趣味も良いところだ。
Aは普通の学生であり、この見た目のままだと私生活に支障をきたしまくりである。
なので、一刻も早く異能者を捕まえて殴り飛ばしたい、と拳を握りしめるA。
怒りを込めたその仕草も、見た目が見た目なのでただ可愛らしいだけなのだが。
「ん…?何か来る」
ふと、虎の耳でいち早く察知した敦が呟いた。
そして続いて、ズドドドド……と何か物凄い勢いで階段を駆け上がるような音が響き始める。
「やっと来たか…」
太宰がそう呟いた次の瞬間。
「おいコラ如何云う事だ太宰ィィィィ!!!!」
という怒鳴り声と共に、探偵社の扉が吹き飛ぶ勢いで開いた。
『………え?』
Aが驚いた顔で目を見開く。
無理もない。
何故なら突然の訪問者は、
「……やァ、遅かったね中也」
己の恋人である中原中也だったのだから。
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林檎@諸事情につき低浮上(プロフ) - うひゃぁあ更新有難うございます待ってました!!!いつ見ても面白いです!!これからも応援してます − !! (2019年4月30日 0時) (レス) id: 4706140a44 (このIDを非表示/違反報告)
ふらん - 続きがとても気になります! (2018年8月20日 14時) (レス) id: dbdc3a2a0b (このIDを非表示/違反報告)
麦子(プロフ) - ザクロさん» 主人公が除霊(物理)したので大丈夫です!!(笑) (2018年7月16日 2時) (レス) id: 564537986a (このIDを非表示/違反報告)
麦子(プロフ) - ザクロさん» ありがとうございます!^^ (2018年7月16日 2時) (レス) id: 564537986a (このIDを非表示/違反報告)
ザクロ(プロフ) - 敦君。逃げて! (2018年7月10日 23時) (レス) id: cf0e41908a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:麦子 | 作成日時:2018年6月16日 21時