取引 ページ7
他家どころか私まで、4人揃ってアカギさんの方を見る。
「さ、300万……!?」
「博打でたまたま得た金だ
トップのアンタとAさんの点差は54000……
4回戦終了時にオレがトップを取れなければ、その金は1位の奴に全部やる」
ごくり、と3人が生唾を飲み込む音が聞こえた。
それもそうだ。今のレートは20万弱。
それがいきなり300万ともなれば、誰だってこうなる。
「ただ──……
もしオレがこの点差……54000をひっくり返してトップに立ったら
300万の3分の1………100万をそれぞれからいただく」
「!」
「100万だと!?」
「フフ、オレの賭けた300万に比べりゃ安いもんでしょ
それに、オレ以外の誰かがトップを取ればいいだけの話──……」
アカギさんの言う通り、3人のうちの誰かがトップを取れば、その人が300万を総取り。
残りの2人は300万を逃すだけで、これといったペナルティもない。
かたやアカギさんはこの54000点を半荘1回でひっくり返してトップに立たなければならない。
そう思えば、どう考えても有利なのはこの3人……。
他家の3人はすこし顔を見合わせてから、こくりと頷いた。
「……いいだろう、乗った」
結局アカギさんと交代するまでの二局は流局。
私の手はバラバラだったし、とにかくアカギさんまで繋げなければ交代もへったくれもないのだから。
南入する直前、トイレに立った広瀬に続いて、小休憩を取り始める他家のふたり。
卓に残された私は、アカギさんに声をかけた。
「……アカギさん、わたし……
アカギさんの麻雀が知りたい、なんて大それたこと言っておきながら……
全然成長なんてできてないのかもしれません……
今までも、対戦相手が油断して手を抜いていたから辛うじて勝てていたのかなって」
「……ま、気付かない奴は気付かないさ
Aさんみたいなお人好しなんかは、特に」
「……?」
謎めいた発言を追求しようと思ったところで、3人がそれぞれ帰ってきた。
「さ、始めるか」
そう言って広瀬はアカギさんの対面へ。
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南南東(プロフ) - 一気読してしまいました。アカギとのやり取りの一つ一つが素敵です!!更新待ってます! (2022年5月11日 0時) (レス) @page21 id: 74d17b21fe (このIDを非表示/違反報告)
唯 - 初めから最新話まで、一気に読んでしまいました!♪ アカギさん初め、他のキャラクター達の人物背景も崩れてなくて、展開もキュンキュンしたりして、本当に夢中で読んでいました。更新楽しみに待っています。最近は、冷え込む日も多いので、お体には気をつけて下さい。 (2020年1月20日 18時) (レス) id: a44ec662f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:戦犯にわか | 作成日時:2019年12月22日 21時