予言 ページ8
半荘3回戦、南入──。
牌をじゃらじゃらと混ぜながら、ふとアカギさんが口を開いた。
「初心者から大金せしめようなんて、
せこい考え方するんだな、アンタらは」
「……さっきからお前、何を──」
「グルなんだろ?
おたくら3人……
イカサマまでして、
初心者を潰してむしろうって算段だ」
「!」
イカサマ。
やっぱり、いつもの麻雀と雰囲気が違うと感じたのは、お金が賭かってるから……とかではなくて、イカサマをされていたから──。
「イカサマしてたなんて……!」
「フン、やられた方が阿呆なんだよ…
イカサマだろうがグルだろうが、
気づいたところでアンタひとりじゃこの点差はひっくり返すどころかトップにすら立てねえよ!」
反省の色など全くない広瀬に、どうしようもない怒りが湧いてくる。
それと同時に、これだけ打って気付かない私も広瀬の言う通り……
「クククッ……まんざら、勝てなくもない」
「あ!?」
アカギさんは自分の手牌に落としていた視線を、対面の広瀬へ向けた。
「そんなまどろっこしい打ち方なんてしなくとも……
闘える、勝てる……オレひとりで」
──しかし、事はそんな単純なものではなかった。
広瀬含め、グルの3人が圧倒的有利。
言ってしまえば、アカギさんにアガらせなければいい。
どんな安い差し込みでも、流局でも。
4回戦を終わった時点で、アカギさんが2位以下に居ればいいだけなのだ。
結局、南四局終了時点でアカギさんの点棒は5800。
雀の涙程度の潤いを得ても、トップの広瀬との差は広がるばかり。
「ひとりで勝てる、なんて言っておいてそのザマか?
口だけは達者だな」
広瀬の皮肉にも、アカギさんは表情ひとつ変えていない。
……やっぱりこんなの、いくらアカギさんでも…………
「アカギさん……」
残るはこの半荘のみ。
絶望的、と言わざるを得ない。
私の不安そうな表情を見て、アカギさんはいつものようにフフ、と笑ってみせる。
「大丈夫、大丈夫
この半荘……
親に回った連中3人から
必ずオレに振り込ませる」
「──…!」
アカギさんの予言めいた言葉に、3人は息をのんだ。
もちろん、私も。
そんなこと、どうやって。
ろくに打ち回せないのに、これじゃ勝負にならないのに、アカギさんには何か策があるのだろうか──。
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南南東(プロフ) - 一気読してしまいました。アカギとのやり取りの一つ一つが素敵です!!更新待ってます! (2022年5月11日 0時) (レス) @page21 id: 74d17b21fe (このIDを非表示/違反報告)
唯 - 初めから最新話まで、一気に読んでしまいました!♪ アカギさん初め、他のキャラクター達の人物背景も崩れてなくて、展開もキュンキュンしたりして、本当に夢中で読んでいました。更新楽しみに待っています。最近は、冷え込む日も多いので、お体には気をつけて下さい。 (2020年1月20日 18時) (レス) id: a44ec662f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:戦犯にわか | 作成日時:2019年12月22日 21時