最後のひとかけらを君に2 (ページ20)

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俺はAをまたぎゅっと抱きしめた。
泣きながら感情をぶちまけるAを抱きしめることしかできへんかった。

　

『嫌だよ！嫌だよ崇裕！！
私おかしいの？！変？！
私の頭おかしいの？！どうなっちゃうの？！
怖いよ！！嫌だよ、、嫌だっ、！！』

「Aっ、、、」

俺やって信じられへん。
今俺が抱きしめとんのは、いつものAやん。
何も変わってへん。
病院も一人で行って、先生の話やってちゃんと覚えとるやん。
、、誤診やろ、、、？
そう思うのに、、そう思いたいのに、どこかで納得してしまいそうな俺もおる。
やけど、納得してしまったら、もう治らへんような気がして怖い。
何が、、どうなってまうねん。
Aは、、、どうなんねん、、、。

『崇裕、、、っ、』

「薬、、、っ、きっと効く。な？
大丈夫や。大丈夫。」

「大丈夫やから、Aには俺がおるから。
俺がそばにおるから。絶対に、、何があっても。」

「な、、、？きっと大丈夫や。
悪いことにはならへんから。俺がずっとおるから、大丈夫や。」

喉が渇いてカラカラで、…頭の中は真っ白やった。

声が震えるのを必死に隠しながらアホみたいに「大丈夫」って壊れたおもちゃのように繰り返した。

やけどきっとその言葉は、Aには届いてへん…。

　
そんくらい、俺たちは絶望に打ちひしがれとった。

　

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