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A「祭り……回れると思ってなかったから…ちょっと嬉しい。」
俺は予想もしてなかった言葉に少し驚く。
むしろ、帰ろうって言われると思ってたんだけど……
銀時『嬉しいの?』
A「うん。だって、せっかく浴衣まで買ってもらって…髪もやってもらって来たのに…銀時とろくに一緒にいれないまま帰りたくなかったから。」
…さっきまでのイライラ、全部吹き飛んだんですけど。
いつもと違う着飾ったA。
知らない奴らに愛想を振り撒くA。
遠目から見てたせいもあって、知らない奴のような…
俺の手から離れて行ってしまったような…
そんな感覚が全て消え去る。
銀時『A…お前はほんっとに、、、
そうだな。やっぱり祭りを堪能したってのが欲しかったわ。
その浴衣、すげー似合ってる。俺の色、着せられてよかった。』
A「や、やめろ!恥ずかしい…」
顔を赤く染め、少し離れようとするAの腰を
ぐっと引き寄せ、そのまま花火が見える河川敷まで歩く。
銀時『離れんな。はぐれる。』
A「ご、ごめん。」
祭りに浮かれる奴らの気持ちが少しわかった気がした。
慣れない下駄で歩くAの歩幅に合わせて、ゆっくりと祭りの熱を味わっていると
ふいに、各々声をかけられる。
『銀さんっ!仕事は済んだのかい!
よかったらうちのフルーツ飴っ!持っていきなぁ!』
『Aちゃん!定食屋さん手伝うなんて聞いてないよぉ!うちのたこ焼き持ってって2人で食べなぁ!』
『『だから、来年はうちの手伝いしてくれやっ!』』
歌舞伎町の顔馴染み達は同じことを口にした。
俺とAは顔を見合わせて笑うと、
『「それはもう懲り懲りだ。」』
同じ言葉を吐くと、おっちゃん達は
この似た者同士がっ!
と大口を開けて笑っていた。
.
.
.
銀時『おっ!ちょうど始まったなっ!』
ドンっ!ドンっ!と体にまで振動が伝わるほどの大きな音が聞こえて来た時、ちょうど目的地に着き、肩を並べて立ち止まる。
A「わぁ…久しぶりに見たなぁ。」
銀時『俺も。最後に見たの4年前とかだぜ。』
A「私も4年ぶりだ。」
俺を見上げながら、
同じだな。
と、笑顔を浮かべる愛しい恋人は花火なんかよりよっぽど綺麗だ。
銀時『俺らが19歳の時か。』
A「ははっ!そういや同い年だった!」
そう言って、花火を見上げるAは、どこか懐かしそうな、寂しそうな、そんな目をしていた。
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むぎむぎ(プロフ) - MOCAさん» 神コメントありがとうございます!!!更新滞ってしまって申し訳ないですー(゚`ω´ ゚)゚頑張りますね!!! (2月1日 7時) (レス) id: 648c54db81 (このIDを非表示/違反報告)
MOCA(プロフ) - やばば!マジでこの作品神やろ!急に来る夢ちゃんのデレとかマジ最高すぎ。更新頑張ってください!応援してます! (1月27日 11時) (レス) @page30 id: 71d87de2fb (このIDを非表示/違反報告)
むぎむぎ(プロフ) - 紅狼さん» コメントありがとうございます!!好きすぎるなんて嬉しすぎる、、、更新できてなくてすみません。少々お待ちください(T ^ T) (1月7日 13時) (レス) id: 648c54db81 (このIDを非表示/違反報告)
紅狼 - ヤバい、めっちゃ好きすぎる、まぁ、銀さんの奥さんへの愛が溢れすぎて、ずっとニヤニヤしっぱなしでしたw更新頑張ってください。 (1月3日 2時) (レス) @page30 id: c1d0e4500e (このIDを非表示/違反報告)
むぎむぎ(プロフ) - kk_さん» コメントありがとうございます!!そう言ってもらえるだけでほんとに頑張れます。。。引き続き読んでやってください!! (10月9日 21時) (レス) id: 0ab5c4428c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むぎむぎ | 作成日時:2023年10月9日 20時