*ﾟ*金魚花火21*ﾟ* (ページ1)

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【５７０】ページ1

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和也「煙草(おつかい)、頼まれてくれる？」

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ふ、と微笑みながらそう言う彼から

目を離せなかった。ぼろぼろ、と言葉を発するより早く

零れた涙が何より雄弁

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和也「ん？……何、相変わらず泣き虫だなお前」

A「思い、出したの……？」

和也「厄介なことに」

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智さんが、傷付いているように見えた。

私が傷付けてしまっている。こんなの駄目だと思う。

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和也「自分が金魚と呼ばれていたこと、錦冠として組を率いていたこと

志摩子を殴ったこと、智にビビってたこと

―――ドン引きするぐらい愛しちゃった姪っ子のことも、厄介なことに思い出したよ」

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痩せてしまって、余計に儚く

そのくせ中身は何も変わってなくて

こんなのは、卑怯だ。

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和也「A。

………飼われてくれんでしょ、俺に」

A「っ…」

和也「なんだよー、もー……(笑)

俺の好きにしていいって意味でしょ？ようやく合意のもとお前のこと可愛がってやれるって

あんなことやこんなこともしてもらおう、恥ずかしがっても拒否権なしで楽しそうだなって思ってんのにさ」

智「……変態」

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ぼそっと智さんが呟いた。呆れたように。

「そうだよ、今頃気付いたの？」とか開き直るなんて、本当になしだから。

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智「気付いてたよ……そもそも叔父と姪っていう関係性からしてアウトだから」

和也「なんで(笑)萌えるじゃん(笑)」

智「危ないよー。A、逃げるなら今だよー」

和也「棒読みだな」

智「感情込めたらリアルでやだ」

和也「リアルだよ、だって俺、本気だし」

智「やめろよキモイ」

和也「ひでえ(笑)」

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泣いてる私にお構いなく、ピリピリしてるはずなのに

どこか軽口を叩きあっているような雰囲気の二人が、変だなって不思議に思ったら

だんだん涙が引っ込んでくる。

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智「………それで、いい」

A「え……？」

和也「俺も智も、お前が好きだって言ってる。泣いてんなよ。

もっと喜んだ顔見せて？」

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―――本当に、一夏だけなの？

こんなに幸せだと思える時間が、終わるなんて信じられない。

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A「和也……っ！」

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