Prince of volleyball .

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｢ 全日本か、ロシアか… ｣









2014年、春。


昨年度の春高は石川祐希率いる星城高校が見事優勝し、三冠を達成したのは、まだ記憶に新しい。


柳田先輩は慶應義塾大学最後の学年へと進み、自分も3学年へと進学した。


そんな中、今、自分の手元には嬉しいことに2つの誘いが来ている。


1つ目は、柳田先輩も誘われた、全日本...つまり、日本代表選手にならないかという誘い。


2つ目は、バレー大国、ロシアから。ロシアリーグでも優勝するようなチームから一緒にバレーをしないかという誘いを受けた。


自分はあまり器用な人間ではないし、1年目、ということもあって、やるならどちらかに専念したい。


...どうしたら、いいんだろうか？


全日本のほうを受けるのなら今までと変わらない生活に日本トップレベルの人達とバレーが出来る。


けど、それでいいのか？


大学も何もかも全部捨ててバレーの為だけにロシアへ行くのも悪い選択ではないと思う。









｢ はぁ... ｣


｢ A、どうかしたのか？ため息なんて珍しいな？ ｣


｢ いや、バレーのことで悩んでて... ｣


｢ え！ ｣


｢ ...なんすか、 ｣


｢ いや、お前バレーのことで悩むことなんてねーからさ。大体、自分より強い人に馬鹿みたいに挑みに行くのがAじゃん(笑) ｣


｢ ...！...いやまあ、そうっすよねぇ... ｣









なんだよ、やっぱ悩んでなかったじゃねーか...そう柳田先輩はいつもの笑顔を浮かべる。


確かに、昔から目の前のことしか見えてなかったのが自分だったし、そうしてるほうが性に合ってる。


そうなれば、答えは1つしかない。


ロシアへ、行こう。もうこれで一生、全日本から誘いが来なくても後悔しないようなプレーをロシアでしよう。


そうと決まればさっさとロシアへ渡ろう。大学も中退でいい。言語の勉強もバレーも、やらなきゃいけないことは沢山ある。


...今までになく、わくわくしている自分がいた。









ロシアへ行くことを決めてから、自分が本当にロシアへ住み始めたのは、1ヶ月以内だった。


チームとしての活動が始まるのはまだまだ先だが、始まる前にロシアでバレーをしているいろんな人と触れ合おうと思う。


それが、自分のためになると思うから。


...あれ、ちょっと待って？...親以外にロシアへ行くこと、連絡したっけ...？


携帯をこっちに来てから壊したから...連絡してなくない...？あれ...？


...ま、いいか。









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