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「…………あ、あの「今日はあまり寒くないな」……えっ……?あ、そうですね…」
私の言葉に被せるように奈良坂さんは空を見た。
確かに今日は日も出ていていつもよりは寒くはないが、そう大して変わらないだろう。
「天気もいい。
近界民もいつもよりか少ない。」
普段の奈良坂さんなら言わなことまで、
まるで、私に言わせまいとしているようだ。
「……そ、うですね……
あの、奈良坂さ…「お前は、」……!」
突然変わった声色に、肩を揺らした。
背中を向けられていて顔が見えない。
「お前は、俺に何を話す気だ?」
振り向いた奈良坂さんは、悲しそうに私の目を見た。
途端に苦しくなった。
私の言おうとしている事が、わかってしまった様だ。
「奈良坂さん、私、奈良坂さんが思ってるほど、出来た人間じゃないんです。
奈良坂さんの家に行った時も、私、奈良坂さんに私の理想を押し付けてました。」
「………」
「周りのことも、ちゃんと考えられない様な人間なんです。」
静かに、奈良坂さんは私へと近づいてくる。
一歩、また一歩と、ゆっくりと。
私の後ろは扉があって
逃げようと思えば逃げれるのだけれど
もう、逃げないと決めた。
「だから、奈良坂さん。
愛想着いちゃったなら、別れてもいいんですよ」
____嘘ですよ。
私、奈良坂さんが大好きです。
また奈良坂さんの家に行きたいし、今度はちゃんとお泊まりしたいです。
デートだってたくさんしたい。
話したいこともたくさんある。
けど、
私のせいで縛られる奈良坂さんなんて、見たくない。
「ね、奈良坂さん。
あの時の告白だって、半分は同情ですよね?
それとあともう半分は好奇心ですか?」
____わかってるよ。
私がどれだけ失礼なこと言ってるか。
本当に私のことを想っててくれた事だって、ちゃんとわかってる。
だから____
「俺に、お前を愛させてはくれないのか。」
____そんな優しい顔で、優しいこと言わないで下さいよ。
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次回、最終回……?
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あめみや - 泣けます。もう一度言います。泣いた (2023年1月6日 22時) (レス) @page7 id: 9b6ef929cd (このIDを非表示/違反報告)
白狼 - 只今読ませていただきました! (2022年5月6日 11時) (レス) id: fc551a1063 (このIDを非表示/違反報告)
白狼 - 完結おめでとうございます! (2022年5月6日 11時) (レス) @page14 id: fc551a1063 (このIDを非表示/違反報告)
おむらーす(プロフ) - 里依さん» ありがとうございます!続編の時もコメントしたくださいましたよね!本当にありがとうございます!楽しく読んでいただけるよな作品を目指して、これからも頑張ります!本当にありがとうございました!! (2016年6月25日 20時) (レス) id: 48f43d8dd4 (このIDを非表示/違反報告)
里依(プロフ) - 完結おめでとうございます!次の作品も頑張ってください!また読みに行きます!! (2016年6月25日 20時) (レス) id: 75168181ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おむらーす | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=mucho
作成日時:2016年6月4日 10時