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「お兄ちゃん!今どこ!?」
奈良坂さんが消えて直ぐ、私はお兄ちゃんに電話をかけた。
電話の向こうから聞こえたお兄ちゃんの緊張感のない声に、少しだけ苛立ちを覚える。
「隊室?!
奈良坂さんが来ても追い返して!!
というか、話を聞かないで…!!」
伝えたいことだけを伝え、脚にさらに力を加える。
無意識にトリオン体へと換装していた私は、生身の奈良坂さんに追いつくには十分なはずだった
けれど
隊室にはもう、奈良坂さんはいた。
「何で………っ」
「三輪に、伝えなきゃいけないことがあるだろ」
「それは言わなくても良いことです!!」
「…何を言ってるんだ………?」
私たちが言い合う中、お兄ちゃんは一人首を傾げた。
それも当たり前なのだが、何故だか腹がたつ。
「三輪も、Aの性格が明るい時と大人しい時があるのは知ってるだろう」
「………あぁ。」
「それに理由があることを、知ってたか?」
やめてよ。
何で壊そうとするの?
お兄ちゃんだって、気づいてたとしても
わかってたとしても
何も言わなかったのに。
何も言わないまま、伝えないまま、
今までと同じような毎日を過ごせれば、それで良かったのに。
変わらなくていいのに。
私が我慢すれば良いだけの話なのに。
「____________いや、知らない。」
「ッ!!」
知ってると思ってた。
こんなの私の勝手だけど、お兄ちゃんだから、って
私のこと、わかってくれてると思ってた。
なのに。
「なんっ……で………!」
「A………?」
「何で!!!?
私っ!お兄ちゃんの為にって………!!!
この髪だって!
本当はお姉ちゃんとお揃いだから切りたくなかったんだよ!?
性格だってあんな風な明るくしてるけど本当はそんなことない!!!
結構疲れるしさぁ…!!
でも!
全部全部全部……ッ!!!!
お兄ちゃんとお姉ちゃんの為ならって、捨ててきたのに___________ッ!!!」
「A………、」
こんな顔をしたお兄ちゃんを、私は見たことがなかった。
困ってる。
困らせてる。
けどもう、止まらない____________
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あめみや - 泣けます。もう一度言います。泣いた (2023年1月6日 22時) (レス) @page7 id: 9b6ef929cd (このIDを非表示/違反報告)
白狼 - 只今読ませていただきました! (2022年5月6日 11時) (レス) id: fc551a1063 (このIDを非表示/違反報告)
白狼 - 完結おめでとうございます! (2022年5月6日 11時) (レス) @page14 id: fc551a1063 (このIDを非表示/違反報告)
おむらーす(プロフ) - 里依さん» ありがとうございます!続編の時もコメントしたくださいましたよね!本当にありがとうございます!楽しく読んでいただけるよな作品を目指して、これからも頑張ります!本当にありがとうございました!! (2016年6月25日 20時) (レス) id: 48f43d8dd4 (このIDを非表示/違反報告)
里依(プロフ) - 完結おめでとうございます!次の作品も頑張ってください!また読みに行きます!! (2016年6月25日 20時) (レス) id: 75168181ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おむらーす | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=mucho
作成日時:2016年6月4日 10時