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私たちは一つの仮眠室に入った。
誰もいないこの部屋は、とても静かで、心臓の音すら聞こえてしまいそうだ。
「少し、お前に訂正しておきたい事があるんだ」
「え……?
訂正、ですか…?」
何のことやら、と
私は首を傾げた。
そんな事よりも 気まずい。
あの日以来この人と会うのは避けてきたから、尚更。
「俺は、三輪の為の性格を捨てる気は無いのかと聞いたよな」
「………はい」
「それは別に、変えろと言ってるわけじゃなかったんだ。
ただ………変わって欲しかっただけで」
「………?
それってやっぱり、変わるべきだって、事なんじゃ………」
変わって欲しいと言われて、私はまた苦しくなった。
何で私を否定するの、と。
「変わるべきなのは、その考え方だと言いたかった。
お前は、俺の言葉に全てを否定されてる気になっただろうけど、それは逆だ。
俺も、皆も、もうAを認めてるんだ。
どんなAも、Aに変わりは無いだろ?
明るい、作った性格だって。
大人しい、元の性格だって。
俺は、その全部を受け止めてる」
『俺が受け止められて、兄である三輪が受け止められない訳が無いだろ』
そう笑った奈良坂さんは、いつになく優しい表情をしていた。
「………でも私、やっぱり……」
怖い。
もしそれがきっかけで、お兄ちゃんがお姉ちゃんを思い出して
傷ついてしまったら。
私は_________
.
「________わかった。
なら、俺が言う。
お前の口から言うのが一番だと思って今まで我慢してきたが……
限界だ。
お前の傷つく姿を、俺は黙って見てられるほど出来た男じゃ無いんだ。
悪いな。」
部屋を出た奈良坂さんの顔は、何かを決めた顔で
私は一瞬、何が起こったのかわからなくなった
けど、すぐに奈良坂さんの言葉を思い出す。
『俺が言う』
ヒュッ、と首が締まる様な感覚が私を襲う。
行かなきゃ
追いかけなきゃ
「待ってください……!
奈良坂さん!」
廊下にはもう誰もいなかった。
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あめみや - 泣けます。もう一度言います。泣いた (2023年1月6日 22時) (レス) @page7 id: 9b6ef929cd (このIDを非表示/違反報告)
白狼 - 只今読ませていただきました! (2022年5月6日 11時) (レス) id: fc551a1063 (このIDを非表示/違反報告)
白狼 - 完結おめでとうございます! (2022年5月6日 11時) (レス) @page14 id: fc551a1063 (このIDを非表示/違反報告)
おむらーす(プロフ) - 里依さん» ありがとうございます!続編の時もコメントしたくださいましたよね!本当にありがとうございます!楽しく読んでいただけるよな作品を目指して、これからも頑張ります!本当にありがとうございました!! (2016年6月25日 20時) (レス) id: 48f43d8dd4 (このIDを非表示/違反報告)
里依(プロフ) - 完結おめでとうございます!次の作品も頑張ってください!また読みに行きます!! (2016年6月25日 20時) (レス) id: 75168181ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おむらーす | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=mucho
作成日時:2016年6月4日 10時