検索窓
今日:6 hit、昨日:4 hit、合計:47,145 hit

50 ページ1

.







私たちは一つの仮眠室に入った。

誰もいないこの部屋は、とても静かで、心臓の音すら聞こえてしまいそうだ。








「少し、お前に訂正しておきたい事があるんだ」





「え……?

訂正、ですか…?」





何のことやら、と
私は首を傾げた。


そんな事よりも 気まずい。




あの日以来この人と会うのは避けてきたから、尚更。







「俺は、三輪の為の性格を捨てる気は無いのかと聞いたよな」




「………はい」




「それは別に、変えろと言ってるわけじゃなかったんだ。


ただ………変わって欲しかっただけで」





「………?
それってやっぱり、変わるべきだって、事なんじゃ………」







変わって欲しいと言われて、私はまた苦しくなった。


何で私を否定するの、と。







「変わるべきなのは、その考え方だと言いたかった。


お前は、俺の言葉に全てを否定されてる気になっただろうけど、それは逆だ。

俺も、皆も、もうAを認めてるんだ。
どんなAも、Aに変わりは無いだろ?


明るい、作った性格だって。
大人しい、元の性格だって。





俺は、その全部を受け止めてる」







『俺が受け止められて、兄である三輪が受け止められない訳が無いだろ』






そう笑った奈良坂さんは、いつになく優しい表情をしていた。







「………でも私、やっぱり……」







怖い。




もしそれがきっかけで、お兄ちゃんがお姉ちゃんを思い出して


傷ついてしまったら。






私は_________









.









「________わかった。
なら、俺が言う。



お前の口から言うのが一番だと思って今まで我慢してきたが……




限界だ。

お前の傷つく姿を、俺は黙って見てられるほど出来た男じゃ無いんだ。




悪いな。」








部屋を出た奈良坂さんの顔は、何かを決めた顔で





私は一瞬、何が起こったのかわからなくなった



けど、すぐに奈良坂さんの言葉を思い出す。






『俺が言う』









ヒュッ、と首が締まる様な感覚が私を襲う。







行かなきゃ


追いかけなきゃ









「待ってください……!

奈良坂さん!」








廊下にはもう誰もいなかった。








.

51→



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (178 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
160人がお気に入り
設定タグ:ワールドトリガー , ワートリ , 奈良坂透   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

あめみや - 泣けます。もう一度言います。泣いた (2023年1月6日 22時) (レス) @page7 id: 9b6ef929cd (このIDを非表示/違反報告)
白狼 - 只今読ませていただきました! (2022年5月6日 11時) (レス) id: fc551a1063 (このIDを非表示/違反報告)
白狼 - 完結おめでとうございます! (2022年5月6日 11時) (レス) @page14 id: fc551a1063 (このIDを非表示/違反報告)
おむらーす(プロフ) - 里依さん» ありがとうございます!続編の時もコメントしたくださいましたよね!本当にありがとうございます!楽しく読んでいただけるよな作品を目指して、これからも頑張ります!本当にありがとうございました!! (2016年6月25日 20時) (レス) id: 48f43d8dd4 (このIDを非表示/違反報告)
里依(プロフ) - 完結おめでとうございます!次の作品も頑張ってください!また読みに行きます!! (2016年6月25日 20時) (レス) id: 75168181ed (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:おむらーす | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=mucho  
作成日時:2016年6月4日 10時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。