夢寐 Ⅲ (ページ38)

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文句を言いながらも作ってくれたオムライス
“ケチャップで名前書いてよ”とお願いすると
ひらがなで“わく”って書いてくれる
それに満足してついでにとスプーンをAに渡すと

「甘えん坊じゃん。」

なんて言いながら“湧ちゃんあーん”と言って
俺にオムライスを食べさせてくれた

食事を終えて冷蔵庫から
お土産のケーキを持って来てAに渡す

『ん、お土産。開けてみ？』

Aの喜ぶ顔が見たくて
わざわざケーキの箱を開けさせると

「あ！焼栗モンブランだ！！」

キラキラした目でモンブランを見つめている

『お前が俺に食わせたいって言ってたの思い出してさ』

「うん、うん！湧覚えてたんだ！」

俺が覚えていたことが余程嬉しかったのか
笑顔が溢れるA
そんな彼女が可愛くて仕方がなかった

お土産も食べ終えた後
2人でまったりした時間を過ごす
会えない間お互いどうしてたのか
どんなことがあったのか
つもる話なかなか終わらず
そろそろいい時間になってきた

「明日は仕事だし、湧も疲れてるでしょ？
　私お風呂入ってくるから先に寝てて？」

そう言ってお風呂場へと消えていった彼女
布団の中で彼女を待っていたが
温かい布団とこれまでの疲れが出ていつの間にか眠ってしまっていた

心地よいリズムで髪を撫でられる感触で目を覚ます
目は開けていないから寝てると思っている彼女は
“湧好きだよ”と呟きキスをしようと
近づいてきたAの腕を引っ張る

『何してんの？』

目の前にあるAの顔は
俺が起きていたことに驚き戸惑った顔をしてる

『そういうのはちゃんと起きてる時に言って？』

彼女の唇に噛み付くようにキスをして
会えない時間を体を重ねて埋めていった

“ねぇ湧動けないんだけど！！”
“昨日は激しかったからな”
“どうしよ仕事行けなじゃん！”
“昨日は代休だろ？今日は有給取ればいいじゃん”
“あのね？そんなに社会は甘くないの！！”

『無防備な寝顔』

fin