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月は見ているってこういうこと? ページ19

何かを引っ掻くような音に、視線を下げる。
腰のあたりで鳴っていたのは、百華で使っている無線機で――。

『し――……応と……いい加減返事をしろ、A!!』
「つ、月詠姉!?」

無線機から響く声に、私は思わず声を荒げた。
(ま、まずい……!)
さぁっと引いていく血の気に、頬が引き攣る。どうしよう。飛び出して来たの、絶対に怒ってる……!

「おい、今の」
『おいA!! 聞こえてないのか?!』
「ちょ、ちょっと待って! 今心の準備してるの!」
「何の話でィ。いいからさっさと出てやれよ」
『A!』
「い、いやぁ、それはちょっと……」

あはは、と笑みを浮かべ誤魔化そうとするが、残念ながら目の前の男にそれは効かないようで。
じとっとした視線に、頬が引き攣る。なんでそんな目でこっち見てんの!?

「……てめェ、何か悪ぃことでも」
「してないしてないッ!」
「んじゃあ出れるだろィ」

「さっさと出ろ」と視線が告げる。うっ、と声を詰まらせつつも数度無線と沖田に視線を行き来させ――私は観念して応答のボタンを押した。
(どうかあまり怒らないで……!)

「も、もしもし〜」
『もしもしじゃないじゃろうが!!クソガキ!』
「ひぇえっ!」

――お、怒ってる〜〜〜!
ちょー怒ってる!めっちゃ怒ってる!
月詠姉怖いんだけど! なにこれ私しぬの?? 悲しき寿命の定めなの!?

『まったく!人の話も聞かんで出ていきよって!』
「つ、月詠姉っ、犯人はちゃんと捕らえたし、お金は……持ってなかったけど、身分証は回収したから――」
『そういう問題じゃないと言っちょるじゃろうがっ!』

『いいから早く帰ってこい!』と叫び、切れた通信。
今はもう、うんともすんとも言わないそれを、じっと見つめる。
(こ、怖い……)

「月詠姉、こわぁ……」
「……お前の姉さん、怖ェな」

顔を見合わせた沖田に、私はコクリと頷いた。
――顔が青くなっているのは、気のせいじゃない。

忘れた人間を思い出すのって大変だよね→←追いかけっこの鬼は別のところに



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羽衣瑠璃(プロフ) - おもしろかったです。続き、楽しみにしてます。 (5月17日 15時) (レス) @page33 id: 3065eb1929 (このIDを非表示/違反報告)
塩豆大福(プロフ) - みもりさん» 初めまして。お返事が遅くなってしまい、すみません…!まさかコメントいただけるとは思っておらず…!こちらこそ、読んでくださりありがとうございます!好みって頂けて凄い嬉しいです^^ これからも更新していくので、ぜひよろしくお願いします!! (2023年3月4日 23時) (レス) id: 6f796f69bc (このIDを非表示/違反報告)
みもり(プロフ) - ヤッバイおもろすぎます.....まだ主人公に靡いてない沖田さんもこれから伸び代ありそう...!とりあえず好きです好みですこれからもって頑張ってくださいいいい!! (2023年2月18日 1時) (レス) @page17 id: 838092b84b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:塩豆大福 | 作成日時:2023年2月7日 0時

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