日プのオオカミちゃん (ページ10)

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関西弁は魔法の言葉です3 ページ10

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世間は感染病が流行っている真っ只中。

なるべく部屋の中での密は避けたいという意味で小林くんだけに小池くんを任し、わたしと(2歳上なんだろうけど本人希望により)まさやくんは、のんびり控え室の方まで戻ることに。

柾「にしてもAちゃん、もうAクラスのメンバーと仲良くなったんだね」

「ん？うん。たじくんと蓮汰はその前からやけど……、まあ基本的にみんな人見知りないからグイグイくるよね」

柾「ふーん。いいなあ〜」

いや、いいなあ、て。

ちゃっかり君もそのうちの1人なんやけど、というのはまあ言わないでおく。

「……あ、カノちゃん」

柾「かのちゃん？」

「狩野奏。Bクラスにおるやろ？」

柾「ああ！狩野さんか」

「え、いやそこは奏ちゃんでいいやん」

柾「えーそれはなんかなあ〜」

「……じゃあわたしも大神さんでいいのでは」

柾「あはは！それはそれ、これはこれ」

……いやわからんわからん。ちょっと考えてみたけどわからん。

危うくそのいい顔に騙されるところだった。

柾「でもたじとかもAちゃんって呼んでるんでしょ？」

「それはまあ」

柾「じゃあいいじゃん。俺もAちゃんと仲良くなりたいの」

……にしても、こうして近くから改めて見ると、まさやくんってやっぱり顔が良い。めちゃくちゃ整ってるって訳ではないけど、なんかいい。

分かるなあ、世の女子はこういう優しそうで、甘やかしてくれそうな、でも噛み付く時は噛みつきそうな男子が好きなんよな。

「……まさやくんは馬鹿正直でいいね」

柾「ええ、なにそれ〜バカにしてるの？」

「してへんよ。褒めてんの」

柾「……ならいいけど」

……でもじゃあ、わたしはなんで1位になったんだろう、

と、ふと思う。

大神Aを1位にしてくれた人たちがいることは確かな事実だけど、自分がほんとうにトップでいていいのか分からないし、実感も責任も、まだ湧いてこない。

柾「じゃあ、俺はこのままBの方に行こうかな。ありがとね、俊司のこと心配してくれて。これからも俊司のこと、よろしくお願いします」

……まさやくんも、そうなのかな。

まさやくんも、ほんまは戸惑いとか不安とか、感じてる？

柾「すぐ追いついてみせるから」

「……うん。わたしもがんばるよ」

柾「ん。お互いにね」

そうだったら、ちょっといいのに。

そんなことを思いながら、まさやくんの力強く、大きな拳に自分の白く、小さな拳をゆっくり合わせた。