日プのオオカミちゃん (ページ8)

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関西弁は魔法の言葉ですページ8

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「……木村くん」

チャンスだ、と思った。

昨日も一昨日も、今日だってほんとはずっと話しかけよう話しかけようって思ってたのに、たじが傍にいたり、洸人と楽しそうに話してたり……なかなかタイミングがなかった。

レベル分け評価のダンスと表現力を見て、クールそうに見えるけど根っこはめちゃくちゃ優しくて、きっとかわいいんだろうなーって思ったから話してみたかったのに、さすがにあのメンツに常に囲まれてるところにグイグイだなんて、俺も行けない。

ほんとはなあ、お互い1位同士で席も近かったし、順位発表式の時にでももう距離を詰められたんだろうけど……、

なんか、こっちもさすがに緊張してしまって会釈しかできなかったのがずっと心残りだったんだよね。

おまけに彼女は案の定Aクラスに行ってしまって、俺はその1個下のBクラス。

二重の意味で悔しさしかなくて、実はあの日の夜、ちょっぴり泣いたりもした、とか、しなかったとか。

「順位発表式ぶりだね」

柾「うん。……Aちゃんと一緒にAクラスに上がれなくて、正直今でもちょっと悔しいよ」

「……まあでも、木村くんなら上がってくるやろ？」

ああでも、話せばより分かっちゃうなあ。

たじも、洸人も、大悟だって彼女と仲良くなりたいと思ってしまう気持ちが、なんか分かる。

「待ってるから。大丈夫」

柾「……うん、ありがとう」

こんな素直で、真っ直ぐで、強い確かな瞳を、俺は彼女以外には知らないかもしれない。

柾「俊司、確かにまだ来てなかったね」

大「そうなんです。だから…、」

「……実は、の話なんですが、今日の早朝、小池くんが廊下でうずくまってるの見ました」

大「っえ」

「でも時間もあったし、１回部屋帰って寝たら？って言って帰してあげたんやけど……様子はちょっとおかしかった。だから……死んでへんか心配で」

大「えぇっ！？」

「え」

柾「いや、大悟も落ち着いて？Aちゃんも、たぶん、そんな急に死んだりしないと思うから……」

「……うん、ごめん、冗談です」

柾「えっ？」

大「え、えええ……」

「いやごめん小林くん、そんな真に受けられると思わんかった……関西人失格やわ……」

柾「……Aちゃん、思ったより面白いね」

「いや、ちゃう！そんな微笑みで言われても関西人は嬉しくない……！」

えー可愛い何この子。

そんな関西弁聞いちゃったら、そりゃみんな、魔法にかかっちゃうよ、Aちゃん。