海岸線の恋人2 ページ47
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「あ、そや。タオル」
帆「タオル？あ、この前俺の持ってったやつ！」
「いや誰やねんわたしに放り投げ……た……」
……あれ。わたしとうとう睡眠時間短すぎて幻想見てる？
だって、おるはずないのに、こんなところに、ましてやこんな時間に。
仕方ないのでほっぺをみょーん、とつねってみる。
「あ、ちゃんと痛いわ」
帆「は？なにして……あ、」
「あ、海くんにも見えてるんか。よかった幽霊かと思ったわ」
帆「……いや、意外と幽霊かも。だってめっちゃ静止画やん。おもしろ(笑)」
そうよな。めっちゃフリーズしてるもんな。
両手で口元抑えてちょっと女の子みたいでかわいいけどそのままフリーズしてるもんな。
……まあ、どのみちそのうちたじくんにはバレるやろうと思ってたしむしろいつか言おうとも思ってたし、ネタばらしでもするか。
「えーっと……、たじくん？」
田「……え、っあ、……はい、あ、いや、……ご、ごめんなんか、……うん、……うん」
え、なにその納得したくないけど納得しました、みたいな「うん」は。
わたしなんも言うてへんねんけど。名前呼んだだけやで？たじくん。
田「……じゃあ、お邪魔しました、」
「っえ、いやいやちょっと待ってよ」
田「……、」
帆「……あ、そういうこと」
「え、なに。わたしまったくこの状況掴めてへんし戸惑いまくってんねんけど」
帆「……こういうことやろ」
「？……え、なに」
こういうこと、って言いながら海くんのやってることはよく分からない。
わたしと肩を組むこと？肩を組んで顔を寄せてくること？なに？てか近いんですけど。
帆「……羨ましいやろ、たじくん」
「……は？」
帆「たぶんA、無限大のメンバーにはなんも言うてへんから知らんかったやろうけど、最近ずーっと毎日こうやって朝早くから俺がAにクランプ教えてんねん。Aが『海くん教えて〜海くんにしか頼まれへんねん〜(裏声)』って言ってきたからさあ」
「いやなんなんその裏声。しかもそんなん言うてへんし」
帆「あ、もちろんふたりっきりでな♡」
しかもしまいには乙女の顔をぷにぷに触ってくるときた。……おい、さすがに同じ関西出身とはいえスキンシップがすぎるぞ中野海帆。
「……そろそろセクハラで訴えるで。ほんま離して」
帆「やだね〜。だって俺Aのこと好きやもん」
「分かった。分かったからとりあえ、っう、わ、？」
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作者名：魚屋 | 作成日時：2021年2月16日 23時
