すれ違ってからが本番だから2 ページ42
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「……え、待って。今何時?」
海帆「……あ、やば。もう練習始まってるわ」
「え!?呑気か!うわ〜やばいやばい、」
帆「あ、Aわすれもん!」
「おお、ありがと。んじゃまた明日!今日もお疲れ様でした!」
帆「はいよ〜」
「って海くんもはよ行きや!」
帆「Aも急ぎすぎてコケへんようにな〜」
バタバタと、いつもなら少しだけ早めに切り上げて無限大2組のところまで戻るのにそれもできないまま、汗でベタベタの状態で走る。
わたしも人のこと言われへんけど海くんも抜けてるんよな……忘れてた。
海くん、あんなイケイケ湘南ボーイ(湘南ではないです同郷です)って感じやのに中身はほわほわしてるもんなあ。今度からピコピコタイマーでも持っていこうか。
「っわ!!……柊くん、」
柊「っ、……Aちゃんか……、また練習してたんですか」
「え、あー……え、てかどっか行くん?練習始まるやろ。っていうか始まってる?」
柊「……や、ちょっと、忘れ物して」
「……そう。じゃあ、待ってるわな。行ってらっしゃい」
あー危うくドアにめっちゃやばい勢いで頭をぶつけるところだった。あぶない。しかも今のでさらに冷や汗かいてしまった。
タオルタオル……と、急いで首にかけてきたタオルでとりあえず汗だけでも拭っておこう、ととりあえず冷静になってみると。
「……っておいおい、海くん……」
いや中野海帆くんよ、帰り際にバッて投げてくれたこれ、アンタのタオルや。私が持ってきた柄と違うししかも使用済の。仮にも確かにあなたの弟子かもしれへんけど乙女なんですが。使用済のタオルは使えない。
……仕方ない。普通に考えたらこんな汗だくのままこの部屋に入るのも乙女的にどうなんかなって思うし、戻ろう。戻って、海くんのところに……
ああでもそうか、そうなったら海くんがおるアイニー組のところに行かなあかんのか。うわそれは嫌や。あ、でも福田くんおるか……。
そうやって1人、ぐるぐる考えながら、でもやっぱりタオルは取り返したいし海くんのことやから気付かず使ってるという場合も……それはあかん!!
と、歩く。
「……柊くん、?」
柊「!……なんで、」
「……いや、……わたしも、忘れもの取りに」
柊「……、」
あれ、なんかデジャヴ、と思ったら俊司もはじめの頃、そういえばそこに座り込んでたんだと即座に思い出す。
……そんなにそこが落ち着くのか?って、そうじゃない。
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作者名:魚屋 | 作成日時:2021年2月16日 23時