飾らないままでいて3 ページ40
-
「……あ、」
柊「……おはよう、ございます……」
「……おはようございます」
つい、釣られて敬語になる。
あれ、そもそも小堀くんのことなんて呼べばいいんだ？勝手に小堀くんって呼んでるけど、そういえば自己紹介とか、なんか流れるまま昨日はリーダー決めとかセンター決めとかやっちゃったからなんもできてなくない？
柊「……練習してたんですか？」
「え？」
柊「いやだって……汗、かいてるから」
「あー、……なんか、苦手って思っちゃってるからかあんまり上手くいかんくて」
柊「……そ、っすか」
「……うん。あ、自販機使うよな」
柊「ああ、ありがとうございます」
……なんやろ。
なんか、今までめちゃくちゃコミュ力高い練習生とばかり話していたからなのかこういう沈黙が久しぶりで、どうしていいかが分からん。
向こうから話しかけてこなさすぎるあまり自分から話してしまいそうになってるし、なんか……染められてるというか、変わった？ここに来て、わたし。
前は別にそんな風に思うこと、全くなかったのに。
柊「……俺、大神さんみたいにダンスうまくなりたくて」
もうそろそろわたしは行った方がいいんだろうかと思っていると、ガコン、と、落ちてきたであろう飲み物をとりながら、小堀くんがぽつぽつと話し出す。
その口調はやっぱり、昨日からもそうだったけど不安や恐れなどのマイナス思考でいっぱい！みたいな声色で。
柊「でも、ダメっすね。歌も、ダンスも、全然できない。難しいっす。無限大」
……わかるよ、すごくわかる。
でもこういう時にすぐに「わかる」って言われたくないのも何となくわかるから、あえてなにも言わなかった。
きっと小堀くんには小堀くんなりの悩みや不安がたくさんあって、しんどいんだろうなあ。わかるわかる。
「……柊くんって呼ぼうかな」
柊「えっ？……今？」
「え、うん。いい？柊くんって呼んで。わたしのこともAでいいよ。おんなじチームなんやし、そこくらい気使わんでいいようにしよう」
柊「……大神さんが、いいなら」
「Aね」
柊「……じゃあ、Aちゃんで」
「よーし。じゃあ朝ごはん食べ行こ」
柊「えっ、今から？」
「え、まだ早い？」
柊「早いっすよ。たぶん7時からです」
「……じゃあ、7時まで一緒に練習しよう」
柊「……いい、ですけど、」
まあ年下やし、これくらいグイグイいっても大丈夫やろ。知らんけど。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 200人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：魚屋 | 作成日時：2021年2月16日 23時
