日プのオオカミちゃん (ページ36)

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出会うも別れるも運次第4 ページ36

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「やっぱり曲調的に苦手というか、不安が残るジャンルなんですが、四谷くんが自分を10人の中から引いてくれたことにはなにかあると思って、……このバトル、勝たせてもらいます」

いつにもなくギラギラしたAちゃんの言葉とその目にガツン、と衝撃を受けたように会場が少しだけピリつく。

が、その三秒後くらいには「Aちゃーーーん！！」という突然の迅ひとりの歓声に会場は一気に笑いに包まれ、名前を叫ばれたAちゃんも少し呆れ笑いをしながら迅にゆるく手を振り返していた。あーかわいい。

……でもいつの間にそんなに仲良くなったんだ？この2人。

なんて思ったのはたぶん、俺だけではないはず。

岡村MC『ちょっと大神さんガチファンがいましたけども』

矢部MC『そうですね。いや〜、でもここでも四谷の奇跡が発揮されましたよ』

岡村MC『そうですねえ、勢いこのまま頑張ってほしいですね』

結局、最後まで残された女子の練習生たちは自分たちでチームを選ぶことはできず、それぞれグループの代表1名がくじ引きで引いてそれに書かれた名前の練習生を獲得できるというものになり、

奏「残念だったね〜木村くん」

柾「……奏ちゃん」

奏「こういう時に運がない男は負けちゃうよ〜？」

入ってくれたらいいのになあとちょっと思っていたAちゃんはよっつのものすごい強運によって、あっけなく相手チームの方へと入っていってしまった。

奏「特にAを落とすなら運も実力のうちに入っちゃうからねえ、うんうん」

……落とすって。

そんなのまるで俺がAちゃんのことを恋愛的に好きだと確信してるみたいな言い方だ。

柾「……でも、奏ちゃんを引けたのもこれはこれで俺は運命だと思ってるよ」

奏「いや、それはほんとにそう！たじくんと木村くん、わたしとA。もうバチバチだよ。負けてらんないわ〜ね、トニちゃん」

ア「んあ？なに？聞いてなかった〜」

奏「え〜やだかわいい〜♡」

そう。これはもう運命だから。

Aちゃんがこのオーディションに参加してくれたことも、俺がここにいることもたじがいることも、ぜんぶぜんぶ運命だから。

本気で好きなら、本気で大事にしたいならもっとするべきことがある。

俺は、絶対にデビューする、なんとしてでもこの場所で。