涙袋ごと輝いてみせて2 ページ22
-
練習は、時間とともに進んでく。
練習が進めば進むほど時間ももちろん無くなっていくし、練習が思った通りに進まなかったとしても、時間は平等に、少しづつなくなっていく。
柾「えー……60人で上がる、最初で最後の舞台です。……んー、なんか上手く言えないけど……」
広い広い円陣。
ダンスが好きな人もいれば歌が好きな人もいて、ラップが上手い人とかまだまだ上手くなりたい人とか、趣味も好みも何もかも違う、色んな人達で60人が形成されてる。
俺は、その先頭に立つ。
「……まさやくん顔怖いよ」
柾「っえ、……うそ、ほんと？」
「ほんと」
西「おいおい柾哉〜しっかり〜」
柾「ごめんごめん(笑)えー、……うん。俺も、めちゃくちゃ楽しむんで、……みんなも、心の底からめいっぱい楽しんで、絶対に最高のステージにしましょう！」
……俺は、その先頭に立てるのかな。
円陣が終わって、今日のレッスン、つまり、テーマ曲の練習は全て終了。
明日は前日リハーサルで、実際の舞台に立って、俺たちは踊る。
さぁ帰ろ帰ろーとみんなホテルに帰る支度をせっせとしている中、1人その中でのんびり水を飲むAちゃんに、俺はそっと近づいていく。
柾「……そんなに怖かった？」
「ん？なにが？」
柾「俺の顔だよ。そんな強ばってたかな……、」
「ああいや。別に普通やったよ」
柾「えっ？でもさっき、……」
「まあなんかでも、何となくそんな気がしただけ。ムッてまさやくん、しかめっ面したいんかなーって」
柾「……しかめっ面したいって、……思ってたかな、俺」
「……だって思わん？」
Aちゃんの真っ直ぐな視線がグサ、とどこかに突き刺さる。
「……60人のトップに立つって、そんな簡単な事じゃないからしんどいと思う。……だから、まさやくんは凄いよ。今日までほんまに、お疲れさまでした」
柾「っ、……」
……ああ、Aちゃんはなんでこうも、俺が欲しい言葉をすんなりくれたり、
意識してなくても俺が欲しいであろうものを、すんなりくれるんだろう。
柾「……ん、ありがとう、Aちゃん」
「ん、どーいたしまして」
柾「……、」
……あー待って。
なんか今、めちゃくちゃこの目の前の可愛い子のことすっごい抱きしめたくて仕方ないけど、いや、さすがにだめだな。……うん。
「帰らんの？まさやくん」
柾「！！かっ、帰る！ちょっと待って！」
「はいはい」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 200人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：魚屋 | 作成日時：2021年2月16日 23時
