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『副長、私を抱いてください』
任務の報酬として私が望んだのは、ボーナスでも話題の新作スイーツでもなかった。
一夜限りの身体の関係。当然頭のかたい副長が了承してくれるはずもなく、冷静になれと何度も説得された。嫌だと拒絶されていたら諦められたのかもしれない。
でも、優しい彼は最後まで私を突き放してはくれなかった。
「ん、」
首筋を這うざらついた生温い感触に、全身の力が抜ける。薄い唇から零れる熱い吐息。艶のある黒い短髪が肌に触れ、くすぐったくて身を捩る。
布擦れの音と上擦った声が反芻する部屋の中。長い指がつめたい空気に晒された肌の上を滑る。首に掛かる髪をかき上げて、項のある一点を撫でられた。
「...っぁ」
「この間もしたのか、こういうこと」
この間って、潜入捜査のときのことだろうか。知らないうちに痕を付けられていたらしい。ベッドまでは行ったけれど、軽くキスをしたくらいでそれ以上は何もしていない。こんなふうに肌を合わせて、抱き合うなんて、していない。
黙っていると同じところに唇を落とされる。態とらしく音を立ててきつく吸われ、妙に甘ったるい"女"の声が漏れて彼のもので上書きされたのだと分かった。
「あァ...それともあの腐れ天パか？最近よく会ってるよな」
「...」
「アイツともしたのか」
「...」
「ッチ...答えろって、」
逃げる腰を引き寄せ、顎を捕まえて乱暴に唇を合わされる。閉ざしたままの口を熱い舌がこじ開ける様に割って入る。彼とする2度目のキスは深くて強引で、色事に淡泊そうな外見からは想像もつかないくらいねちっこくて。ずっと望んでいたはずなのに、味がしなかった。
此処に来たのは想いを断ち切る為だ。最後にひとつだけ思い出が欲しくて、あんな最低なお願いをした。
私はあのひとにはなれない。生まれ育った環境も容姿も性格も、何もかも違うのだから仕方がない。どれだけお淑やかに振る舞ったとして、副長にとって私はクソガキで生意気なただの部下だ。貴方がそれを望むのなら、全部なかったことにして戻らなきゃいけない。ただの上司と部下に。
それなのにどうして貴方がそんな、縋るみたいな苦しそうな顔をするの。
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マツリ(プロフ) - Hiさん» 返信遅くなってしまいすみません🙇🏻♂️一気見ありがとうございます...！！嬉しいです！ (3月3日 0時) (
レス) id: 07cc4afb9c (このIDを非表示/違反報告)
Hi(プロフ) - とても面白いお話で今日一気見しました、、!!! 続き楽しみにしています(*^^*) (2月23日 3時) (レス) @page37 id: c9fcf96ef3 (このIDを非表示/違反報告)
マツリ(プロフ) - Honokaさん» ありがとうございます...！私も報われて欲しいです😂 (8月26日 22時) (レス) id: 07cc4afb9c (このIDを非表示/違反報告)
Honoka - 続き楽しみにしてます!!夢主ちゃん報われるといいな､､､､ (8月26日 16時) (レス) id: c2fc80e477 (このIDを非表示/違反報告)
マツリ(プロフ) - ななしさん» ありがとうございます！更新頑張りますね...！ (2023年1月5日 12時) (レス) id: 153e8c8a98 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：マツリ | 作成日時：2021年7月16日 16時
