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バランスを崩しAに押し倒される形で畳に頭と背中を打ち付ける。じわじわと後頭部に響く痛みに流石の土方も顔を歪めた。
...それだけならまだよかったのだが。
Aの寝巻の合わせが乱れてしまった所為で、余計に如何わしさが増している。職務中だってのにこんな状況、誰かに...特に総悟に見られでもしたらセクハラだと意気揚々と騒がれて隊中に広められるだろう。そうなりゃいよいよ俺の副長としての立場は危うい__瞬時に身の危険を察知し青ざめた土方は向こうへ押し戻すべく、Aに触れようとした。
「!ッ___」
ゆっくりと近付いてきた肩を、土方は反射的に突き飛ばしていた。
口元を軽く拭い、上体を起こすA。唇に触れた感触の正体に気付けない程子供でも鈍感でもない。躊躇いがちに、しかしはっきりと意思を持って重なったそれは、脳が痺れる程に甘く、熱が通っていた。
「やだなぁ、おぼこみたいな反応しちゃって。ちょっとした戯れですよ」
「お前...」
「こんなにも魅力的で、しかも自分に好意を持っている女と二人きりなのに突き飛ばすだなんて」
「自分で言うかそれ」
乱れた寝巻きを整えると自前の敷き布団と毛布を手際良く畳んで両脇に抱える 。表情は長い髪に隠れて読み取れなかったが一瞬覗いた耳朶は恥じらう様に赤く熟れていた 。
「...部屋、勝手に入ってすみませんでした。今日は大人しく自室で休みます」
部屋まで送り届けてやるつもりだったのにAは逃げ出す様にいなくなってしまった。
Aからの口付け。そしてその後の挑発的な言葉。泥酔状態であまり本気にしていなかった昨夜の告白が今、土方の中で鮮やかに色付き始める。
反射的に拒んでしまった。多分...というかほぼ確実にAの心に傷を付けてしまった。決して嫌いだからとか恥をかかせたかったからとかではなく俺がただ根性のない男だっただけ。そう、ただそれだけなのだ。
「...あのクソガキ、」
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マツリ(プロフ) - Hiさん» 返信遅くなってしまいすみません🙇🏻♂️一気見ありがとうございます...!!嬉しいです! (3月3日 0時) (レス) id: 07cc4afb9c (このIDを非表示/違反報告)
Hi(プロフ) - とても面白いお話で今日一気見しました、、!!! 続き楽しみにしています(*^^*) (2月23日 3時) (レス) @page37 id: c9fcf96ef3 (このIDを非表示/違反報告)
マツリ(プロフ) - Honokaさん» ありがとうございます...!私も報われて欲しいです😂 (8月26日 22時) (レス) id: 07cc4afb9c (このIDを非表示/違反報告)
Honoka - 続き楽しみにしてます!!夢主ちゃん報われるといいな、、、、 (8月26日 16時) (レス) id: c2fc80e477 (このIDを非表示/違反報告)
マツリ(プロフ) - ななしさん» ありがとうございます!更新頑張りますね...! (2023年1月5日 12時) (レス) id: 153e8c8a98 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:マツリ | 作成日時:2021年7月16日 16時