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「ゔ......気持ち悪い、」



今日こそは調子に乗らないと決めていたのに。

重怠い身体、心拍は早いし頭も痛い。吐き気は大分治まってきたがまだ足に力が入らない。
すっかり酔いが回ったAは土方と共に一足早く屯所へ戻っていた。直前まで書類仕事に追われていた所為もあるだろう、溜まった疲労のお陰かいつもより酔いが回るスピードが早かった。
土方はAを食堂の椅子に座らせると冷蔵庫から水の入った未開封のペットボトルを取り出し、キャップを緩めて差し出した。



「どうだ、気分は」

「ん...ありがとうございます。少し良くなってきました」

「そりゃよかった」



部屋まで送る。土方はそう言うとテーブルにだらしなく突っ伏したAを起き上がらせようと片手を伸ばす。
ふと、夢うつつの彼女の脳裏に先程の酔っ払い沖田の言葉が過った。



『明日じっくり聞かせてくだせェよ?土方との熱ゥい夜について』



冗談で口にした言葉だと分かってる。それでもどうにかして気を引きたくなった。何でもいい。とにかくもう少しだけ、貴方と話がしたい。部屋に帰りたくない。シンデレラの魔法が解ける時間にはまだ、ほんの少し早いから。

どうやら酒の力に頼ってもそう簡単に素直にはなれないらしい。差し出された手を取らないまま口が勝手に動いていた。



「っ...この前、例の件のターゲット...池田に告白されました」



突然の言葉にも土方は顔色ひとつ変えなかった。



「初めてだったんです、誰かに好きって言われたの」

「揺らいだのか」

「あの男はきっと、副長が思う程悪い奴じゃないです。少なくとも私を好きだと言った眼に偽りはなかった」



正直少し揺らいでいた、捜査の為とはいえ自分を想う純粋な気持ちを利用してもいいものかと。土方は溜め息を吐くと新しい煙草に火を点け、苦々しく空を仰いだ。



「相手は悪党だぞ。お前が見てんのはそいつの上っ面だけだ。腹ン中じゃ何考えてるか分かったもんじゃねェし、そもそも告白ってのも罠かもしれねェ」



恋愛も真面にした事ねェガキにゃ分からねェだろうがよ。

衝動だった。小馬鹿にした様な口調についムッとして胸に秘めておくはずだった言葉が口を突いて出た。



「...私だってしますよ、恋くらい」

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設定タグ:銀魂 , 土方十四郎 , 真選組   
作品ジャンル:アニメ
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マツリ(プロフ) - Hiさん» 返信遅くなってしまいすみません🙇🏻‍♂️一気見ありがとうございます...!!嬉しいです! (3月3日 0時) (レス) id: 07cc4afb9c (このIDを非表示/違反報告)
Hi(プロフ) - とても面白いお話で今日一気見しました、、!!! 続き楽しみにしています(*^^*) (2月23日 3時) (レス) @page37 id: c9fcf96ef3 (このIDを非表示/違反報告)
マツリ(プロフ) - Honokaさん» ありがとうございます...!私も報われて欲しいです😂 (8月26日 22時) (レス) id: 07cc4afb9c (このIDを非表示/違反報告)
Honoka - 続き楽しみにしてます!!夢主ちゃん報われるといいな、、、、 (8月26日 16時) (レス) id: c2fc80e477 (このIDを非表示/違反報告)
マツリ(プロフ) - ななしさん» ありがとうございます!更新頑張りますね...! (2023年1月5日 12時) (レス) id: 153e8c8a98 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:マツリ | 作成日時:2021年7月16日 16時

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