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某月某日午後8時過ぎ。料亭にて組全体での宴が開かれていた。近藤、土方など幹部をはじめとした隊士の殆どが料亭へ集まっており、それぞれ酒を呑んで日頃の疲れを癒している様であった。
「真田さん、酒注ぎますよ!」
「俺は飯よそってきます!」
Aの周囲には当然の様に男が群がっていた。ご飯をよそったり酌したり、気に入られようと必死に媚を売る隊士達。Aは差し出された度数の高い酒の入った盃を受け取り、特に疑うことなく口へ運んだ。
「A。俺にも酌してくれねェか」
「副長...」
「それからてめーら、コイツぁ雑魚だからチューハイしか飲めねェよ」
彼女が呑もうとしていた日本酒を奪い取り、ぐいっと喉奥へ流し込む土方。自然な流れでAを自分の傍に置き、下心剥き出しの隊士達から遠ざけて牽制する。流石、鬼と呼ばれるだけの威厳はある。ひと睨みで周囲の隊士達は一斉に竦み上がりそそくさと去っていった。
「あ〜あ、今夜も副長がお持ち帰りかぁ...いいなァ色男は」
「だァから言ったろ、副長に勝てるヤツなんかいねーって」
勿論土方がAを持ち帰った事実はない。A自身は酒の力で彼の鉄の理性が吹き飛ぶ事を期待していたりするのだが、土方は毎回律儀に部屋まで送り届けてくれる為二人の間に過ちが起きたことは一度もなかった。そんな硬派で男前な所も好きなのだが、そもそも"そういう対象"として見られてないのでは、と少し悔しい気持ちもあったりする。
「副長、チューハイしか呑めないは嘘です。梅酒もいけます」
「似た様なもんだろ。日本酒も呑めねェ子供舌の癖に」
「あんな消毒液みたいなの呑める方がどうかしてる」
「ハッ、ガキにゃ分かるめェ」
言い合いが始まってしまえば他の者は入り込めない。
酔っ払った近藤や沖田のフォロー含め、飲み会において土方の気苦労は絶えなかった。無防備も大概にして欲しいがこれだけ大勢の男に囲まれていれば感覚も麻痺するものなのかもしれない。
「いやァ〜こんな大勢の前でイチャついちゃって。大胆ですねィ」
「総悟...そんなんじゃないから...!」
白い肌が真っ赤になるまで酔いが回った沖田が擦り寄ってくる。そのままAの耳元に顔を近付け、ボソボソと言葉を発した。
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マツリ(プロフ) - Hiさん» 返信遅くなってしまいすみません🙇🏻♂️一気見ありがとうございます...!!嬉しいです! (3月3日 0時) (レス) id: 07cc4afb9c (このIDを非表示/違反報告)
Hi(プロフ) - とても面白いお話で今日一気見しました、、!!! 続き楽しみにしています(*^^*) (2月23日 3時) (レス) @page37 id: c9fcf96ef3 (このIDを非表示/違反報告)
マツリ(プロフ) - Honokaさん» ありがとうございます...!私も報われて欲しいです😂 (8月26日 22時) (レス) id: 07cc4afb9c (このIDを非表示/違反報告)
Honoka - 続き楽しみにしてます!!夢主ちゃん報われるといいな、、、、 (8月26日 16時) (レス) id: c2fc80e477 (このIDを非表示/違反報告)
マツリ(プロフ) - ななしさん» ありがとうございます!更新頑張りますね...! (2023年1月5日 12時) (レス) id: 153e8c8a98 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:マツリ | 作成日時:2021年7月16日 16時