17 ページ17
暫く沈黙が続く。生温い風が頬を撫でる。
恐る恐る隣に座る副長へ顔を向ければ夜空を想わせる凪いだ藍色と視線が絡み合い、条件反射で背けてしまった。
「っ...昨日はありがとうございました。部屋まで送り届けてくれたんですよね」
態とらしく話を逸らして本題へ移る。副長はひと呼吸置いて「あー...」と漏らした。
「いいよ別に、呑んでいいっつったの俺だし。まァでも体調管理だけはしっかりしとけ。俺がいなけりゃどうなってた事か」
「分かってます...ちょっと調子に乗り過ぎました」
誰の所為でヤケ酒したと思ってるんだ、と反発したい気持ちがない訳ではないが全くその通りなので何も言い返せない。自分としては年相応の落ち着いた行動をしているつもりなのだけれど...副長の事になると何故か
世の恋する女性は皆こうなのだろうか。色恋に疎い私には分からない。
「そうだ、今度は副長お勧めの料亭にでも連れて行って下さいよ。勿論副長の奢り...で...」
喉奥で音にならない声が漏れた。
...まただ。"誰か"を想う眼。私には決して向けられることのない愛おしそうな、苦しそうな、憂いを帯びた双眸が満ちた月の向こうへ向けられている。
「...っ」
塞がったはずの傷口からドロドロと黒い何かが溢れ出す。嫌だ、見たくない。これ以上、自分の中の薄汚れた感情を知りたくはない。どうしようもなく嫉妬に溺れる醜い女になりたくはないのに。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 796人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
マツリ(プロフ) - Hiさん» 返信遅くなってしまいすみません🙇🏻♂️一気見ありがとうございます...！！嬉しいです！ (3月3日 0時) (
レス) id: 07cc4afb9c (このIDを非表示/違反報告)
Hi(プロフ) - とても面白いお話で今日一気見しました、、!!! 続き楽しみにしています(*^^*) (2月23日 3時) (レス) @page37 id: c9fcf96ef3 (このIDを非表示/違反報告)
マツリ(プロフ) - Honokaさん» ありがとうございます...！私も報われて欲しいです😂 (8月26日 22時) (レス) id: 07cc4afb9c (このIDを非表示/違反報告)
Honoka - 続き楽しみにしてます!!夢主ちゃん報われるといいな､､､､ (8月26日 16時) (レス) id: c2fc80e477 (このIDを非表示/違反報告)
マツリ(プロフ) - ななしさん» ありがとうございます！更新頑張りますね...！ (2023年1月5日 12時) (レス) id: 153e8c8a98 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：マツリ | 作成日時：2021年7月16日 16時
