エゴサ。 ページ2
「ねぇねぇうらたさん」
「なーに」
洗い物を終えた後、ソファに腰掛けてスマホと睨めっこしてる彼氏に呼びかけると、心なしかいつもより柔らかい口調の返事。
「何してるのー?またエゴサ?」
「そうだよ」
後ろで束ねていた髪を解き、うらたさんの隣に座って端末を覗き込む。
“うらたくんのワンマンライブ行ってきたぞー!!お疲れ様!!”
“うらたさんの新曲鬼リピしてるなう”
“うらたいむ〜!今日も大好きです♡♡”
有名な方なんだろう、いいねやRTが何百、何千を越えるようなツイートもあれば、一般のリスナーさんのツイートもある。
うらたいむ、って何だろ。でも愛が溢れてる感じがして、いいなぁ。
気づいてるのかな、スクロールしながら口角めちゃめちゃ上がってる。
幸せそうだな。でも、ちょっと寂しいかも。
私ももう少し相手して欲しいなぁ、なんて我儘か。
「んー?どうしたの」
暫く黙っていた私に気がついたのかうらたさんが私の方に寄る。
「……私も」
「うん?」
「もっと、かまって欲しい……かも、しれないです」
「えー、何それ。可愛い」
「だっ、だって。リスナーさんにはあんなにデレデレなのに!!私だって、好き……とか、言って欲しいんです!いつも私ばっかり、一方的で……」
言いながら涙が流れてくる。馬鹿みたいだ。
「そんなこと思ってたんだ」
ふわり、体全体が温かいものに包まれる。
何ヶ月ぶりかのハグ。
「俺、Aには通じてると思ってちゃんと言ってあげてなかったね。不安にさせてごめんな」
「うらたさん」
「ちゃんと、愛してます。これからはちゃんと言葉で伝えるから」
「あっ、私も。あの、愛してます!!」
「うん、知ってるよ」
あぁ、やっぱり余裕なんだ。私ばっかり照れちゃって。
だけどそんな大人なうらたさんが、大好き。
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作者名:サク | 作成日時:2019年4月14日 16時