ただいま。【浦/島/坂/田/船】

ほくろと。 ページ11

「よっ」

通称“当番制添い寝係”の制度ができて2日目。

今日のお当番は1番の危険人物、志麻くん。

今日さえ越えれば……、あとの2人は比較的安全。

「邪魔モンがおらんって幸せやなぁ〜。今夜は、楽しもな？？」

「何言ってんの。楽しみません」

強気で言い返しつつも、耳元で囁かれて全身がぞわぞわしてるのは内緒。

この人、声が無駄にいいから……。あっ、顔も。

「てか、ベッド狭っ」

「女が1人で寝るには充分です。文句言うなら帰って」

別に私から来てって頼んだ訳じゃないのよ。

「ごめんごめん」

「いいけど」

……って。流石に5歳も年上の相手に偉そう過ぎただろうか。

でも、私はもっと別の話をしたい。

例えば、ゲームの話とか。志麻くん、私と同じでゲームが好きみたいだから。

……って言っても、私は最近のゲームにはあまり詳しくないけれど。

「なぁ、怒った？」

暫く黙り込んでしまってた私に志麻くんが尋ねた。

「怒ってないよ。……ただ、志麻くんと色々話したいのになぁって」

「……へ？」

「ここに来てから、まだ脚の話とかしかしてないじゃない。ねぇ、私結構ゲーム好きなの。昔のとかはすごくやりこんでて」

「えっ、まじで！じゃあアレ知ってる！？」

さっきの雰囲気なんて吹き飛んで、私達はゲームの話題で盛り上がってた。

自分もかなり詳しい気で居たんだけど、志麻くんには到底敵わない。私の知らないゲームの話を自慢気に話す志麻くんは、何だかちょっと子供っぽくて可愛かった。

最近のオススメのものも教えてもらったし、今度始めてみようかな。

「何か、眠くなってきたね」

「……えっ、ほんまにシぃへんの？」

「するわけないでしょ。おやすみ」

本当に何を言い出すんだ。彼ならそんなに女性に飢えることないだろうに。

「おやすみのちゅーは？」

「しない。そんな事ばっかり言うんなら、2度と部屋に入れてあげないよ？」

ごめんって！とまた謝って志麻くんはようやく黙ってくれた。……なるほど、これが効くんだね。

とっつきにくい人かと思ったけど、案外単純？

「……おやすみ」

「はい、おやすみ」

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