次男からの愛が重すぎて、妹である私の胃は持ちそうにない。【おそ松さん】 (ページ3)

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第2話「妹さんは混乱した！」ページ3

ようやく家に着き、玄関を開けて「ただいまー」と入っていったおそ松兄さんに続いて私も入った。

居間からひょっこり顔を出したのはトッティ。

「お帰りおそ松兄さ…あ、A！やっと帰って来た～」

心配したんだからね！とぷんぷん怒るトッティ。

ヘラリと笑いながらごめんごめんと呟くと、居間から他の兄も顔を出し、口々に「お疲れ」やら「お茶いる？」とか「ねえねえ今から野球する！？」とか云々。最後のはスルーした。

お腹すいたーと兄たちの間を縫うように歩き、制服姿のまま居間に入ったら、顔面をドン！と固い何かにぶつけた。ぶべら！

強く鼻を打ち、後ろに倒れかけた私の腕を誰かが掴んで床に転がるといったことを阻止してくれた。

腕を掴まれつつ体勢を立て直し、鼻を押さえながら腕の主に「ありがとう…」と呟いた。

一瞬見えたのはいつも見ていたツナギ、青色。

その直後、胸倉を掴まれ視界が激しく回転しtttttttt

ゴシャッ！！

「ッッ！？が…っ！」

背中、及び下半身に強い衝撃。

それによって肺から全ての空気を吐き出し、咽せた。
目にはじんわりと涙が浮かぶ。

一瞬の出来事で訳が分からず、ブレる視界の中身体を動かせずにいた。

「…よお、honey。随分遅い帰りじゃないか。

今何時だと思ってる？」

とんでもなく低い声。

静かながらも確実に「怒気」が込められた声を出した男に腕と胸倉を掴まれたまま見下ろされてることに気付く。

なんとなく痛い発言が今では耳に入らない。

あの時、遅く帰ってきた私に声をかけずにじっとこちらを見ていただけの人物。

いつもだったら、変なことしかほざかないあいつが。

ようやく理解できた。

私は今、そいつによって鮮やかに「背負い投げ」を極められたのだ。

しかも、一番絶対にそんな事をしないであろう人物の手によって。

「か、らまつ…兄さん…？な、何故…に？」

私が切れ切れにその名を呻くように洩らすと、彼は目の前でニコリと笑った。

あ、一部訂正。こいつの目は一切笑ってない。