第无壱話「それぞれの飯」 ページ5
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あいも変わらず、いのっちの食事の取り方はめっぽう汚かった。
しかも未だ炭治郎くんの事を恨んでいるらしく、挑発するように目の前で彼のご飯を奪いほくそ笑んでいる。
ニヤニヤ笑いながら様子を伺ういのっちに対し、炭治郎くんは暫し呆然としていたが、やがて慈悲深い笑みを浮かべた。
「そんなにお腹が空いているなら、これも食べていいぞ」
そう言って、ニコーっと笑って炭治郎くんは自身の煮物を差し出した。
うーん、優しい。そして自覚なき煽り。120点!
「A?どうしてさっきからジッとこっちを見ているんだ?Aも煮物が欲しかったのか?」
「違う。要らん…とはお婆さんの手前言えないが、君の煮物だから君が食べな」
「Aちゃん、ほら口開けて、俺が食べさせてあげるからさぁ〜」
「善逸くん、それは介護のつもりか?それかただの自己満か?」
「君の為を思っての行為だよ〜うふふ」
「うふふて。…………………あー」
目の前に出された焼き魚。香ばしい香りに引き寄せられ、というより絶対善逸くん諦めてくれないんだろうななんて思い、口を開けた。
しかしそれより早く、黙ってこっちを見ていたいのっちが魚をグワシ、と素手で鷲掴み、そのまま口の中に放り込んだ。まさに一瞬の出来事だった。
不機嫌さを隠さずモグモグ食べるいのっちに「お前何してんのお前!!Aちゃんじゃなくて何でお前が食ってんだよこの猪頭!!!しかも素手って!うえええ俺の箸素手で掴まれた気持ち悪い!!」と善逸くんはめっちゃ拒絶反応を起こしていた。
その様子を見て、「何でやいのっち」とは思いつつ黙って自分の味噌汁に手を伸ばした。合わせ味噌美味い。
今のところ、今のところは、本日も平和である。はい。
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えのぐ(プロフ) - 初めまして!もうこのコメント欄みないかもですけど一応言っておきます…百弍話の最後「異性には厳しい」と書いてありますが同性では…?細かいかもしれませんが…!この作品大好きですん。更新頑張ってください…! (2019年9月18日 19時) (レス) id: 6a2a84fe35 (このIDを非表示/違反報告)
シアン(プロフ) - 今日1日で全部読んでしまいました()好きです!これからも更新頑張ってください! (2019年7月29日 20時) (レス) id: 8d130acbce (このIDを非表示/違反報告)
衣鶴奈(プロフ) - 夢主ちゃんが本当に面白すぎて1話ごとに必ず笑ってますwwめちゃくちゃ面白いです!更新頑張ってください! (2019年7月29日 11時) (レス) id: 8c5e0feeb8 (このIDを非表示/違反報告)
ニコ - コメント失礼します。この作品が面白すぎて、全然原作知識ないのに壱から1日で読んでしまいました!!番外編も含め、続きすっごく楽しみにしています!! (2019年7月27日 22時) (レス) id: 8f71767d1e (このIDを非表示/違反報告)
棒人間 - 初めまして。この作品、とっても面白いですね!たまたま見つけて読んだのですが、この作品で鬼滅の刃の夢小説に目覚めました。応援しています!頑張って下さい! (2019年7月25日 21時) (レス) id: 804948c577 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぱんこ | 作成日時:2019年7月21日 9時