第无玖話「人を襲わない鬼」 ページ13
.
目が覚めた。
飛び起きる。周りを見ると、部屋には私しかいなかった。
………ウォォォ、頭痛え!!めっちゃ痛え!!カチ割れたんじゃないかってくらい痛い。えっマジで割れた?うそ?
「………」
「っ!?び、っくりした……」
頭を抱えた私の近くに、いつの間にか「襧豆子」ちゃんがいた。
竹を咥えたまま、黙ってこちらを見つめている。
……この手に、不自然な力が宿らない。
あの人、納得してくれたんだ。嬉しい!良かった!!一安心した。
彼女はボーッとした顔をして、私に向かって手を伸ばした。
そして、ぽん、と頭に手を乗せる。
「………」
……え?どうした、急に。
襧豆子ちゃんはそのままわたしの頭を撫でる。その手が跡になりかけているおデコに触れようとして、止まる。
そして、壊れ物を扱うかの如く、恐る恐るといった様子で触れる。
「………ちょっと痛い」
「!!……」
ビクッと反応した襧豆子ちゃんは、上目遣いで私を見つめる。いや、ちょっと待って、破壊力が凄い。
見てるか千里爺ちゃん、この子物凄く可愛いぞ。正直嫉妬どころではなく凄い可愛い。めっちゃ凄い。えっ可愛い。めっちゃ好き。この文のIQは4である。
そしたら、急に彼女はギュッと抱きしめて来た。どどどど、どうしたっていうの急に襧豆子ちゃん!?
彼女の背に回った腕が空を彷徨う。どうして良いか分からなくなり、とりあえず背をぽんぽん叩いた。
「よ、よしよし、良い子良い子」
最終選別の際、怪我により意識が朦朧としていた私の対処法として善逸くんがやっていた事を思い出し、同じようにぽんぽん叩いて背中をさすってやれば、彼女はもっと力強く抱きしめて来た。
………、例え不可抗力でも、殺そうとしてごめん。許してほしい。
背中を叩いていた手を回し、彼女の肩に顔を埋めた。
結局、厠に行ってたらしい善逸くんの「何この幸せな状況……??眼福に尽きるんだけど……くそォーッ混ざりたいけど流石に混ざれない!!!邪魔になりたくない!!!」との言葉で我に帰った。
恐るべし、襧豆子ちゃんセラピー。
.
1320人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
社会人になる筈だった私の就職先は『鬼殺隊』と呼ばれる組織に決定しました。伍【...
金髪君に散々貢いで貰ってたら、いつの間にか形成逆転されかけた話。参【鬼滅の刃】
もっと見る
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
えのぐ(プロフ) - 初めまして!もうこのコメント欄みないかもですけど一応言っておきます…百弍話の最後「異性には厳しい」と書いてありますが同性では…?細かいかもしれませんが…!この作品大好きですん。更新頑張ってください…! (2019年9月18日 19時) (レス) id: 6a2a84fe35 (このIDを非表示/違反報告)
シアン(プロフ) - 今日1日で全部読んでしまいました()好きです!これからも更新頑張ってください! (2019年7月29日 20時) (レス) id: 8d130acbce (このIDを非表示/違反報告)
衣鶴奈(プロフ) - 夢主ちゃんが本当に面白すぎて1話ごとに必ず笑ってますwwめちゃくちゃ面白いです!更新頑張ってください! (2019年7月29日 11時) (レス) id: 8c5e0feeb8 (このIDを非表示/違反報告)
ニコ - コメント失礼します。この作品が面白すぎて、全然原作知識ないのに壱から1日で読んでしまいました!!番外編も含め、続きすっごく楽しみにしています!! (2019年7月27日 22時) (レス) id: 8f71767d1e (このIDを非表示/違反報告)
棒人間 - 初めまして。この作品、とっても面白いですね!たまたま見つけて読んだのですが、この作品で鬼滅の刃の夢小説に目覚めました。応援しています!頑張って下さい! (2019年7月25日 21時) (レス) id: 804948c577 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ぱんこ | 作成日時:2019年7月21日 9時