陸、『決壊』 ページ6
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みんなのお金が入っていたらしい壺。その中は空っぽである。
悲鳴嶼さんは用があるらしく近くの村へ出て行ってしまい大人がいない。誰も1人相手に大人数で怒濤の如く責め立て罵る様を止めようとしない。
最年少の沙代ちゃんは怯えてしまい、隅の方で震えながら泣きじゃくっていた。
「ま、待って、せめて話を聞こう？というか本当にお兄ちゃんが盗んだの？空き巣の仕業とかじゃなくて？」
ならば妹(仮)が割り込んでやろう。血の繋がりが無くとも己のお兄たまが一方的に罵られてたら流石に止めるというのが妹の務め。というか子供達が好き勝手にギャンギャン騒ぎ出して若干耳キーンってなったからってのもある。純粋に止めたいの巻。
「おい、盗人のそいつに味方するのかよ、A！」
「えっ」
「お前ら兄妹揃って金盗んだのか！！」
「えっえっ」
いやちょっと待て。ずぶずぶの濡れ衣。
「お姉ちゃん、」
「そうなの、お姉ちゃん……？」
1人の子の叫びに、私を「姉」と慕う女の子達が不安そうな顔をする。
待って。めっっっちゃ冤罪。ほんと待てや君ら、お金を取られたからって盲目になってないか？そもそも獪岳くんの言い分を聞いてから、と言いかけたところで1人の男の子に腕をガッと掴まれた。
怒りのあまり顔を真っ赤にして、「俺たちのお金を返せよ！！」と叫び、私の手をぎり、と掴む。
容赦のない痛みに思わず顔を歪めた。
「Aは関係ねえよ！！てめぇ、手ぇ離せ！！」
そんな時、沈黙を守っていた彼が突如動き、私の腕を掴んでいた男の子の手をパァン！！と叩いた。いや音の響きからして滅茶苦茶痛そう〜〜！！！
「ってぇな、何しやがる、この盗人！！」
＿＿＿＿＿＿出てけ！！お前なんか出て行け！！！
心からの叫び。純粋な彼らから発せられた、拒絶の言葉。
後ろから同調するように叫ぶ女の子達に、最早家族の繋がりは断たれたのだと理解する。
それはもう、二度と埋まらぬ溝だと確信した。それ程までの大きな軋轢。元は他人同士故の脆い繋がり。一つの事で、簡単に瓦解してしまった「家族仲」。
彼はその言葉を聞いて、私たちに背を向けて寺から出て行く。
待って、と私の口から言葉が出るより早く、彼の姿は日の沈んだ薄暗い森の奥へ、消えた。
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�桟鈬�(プロフ) - コメ失礼します！メチャクチャ好きです！！(唐突)更新頑張ってください！ (2020年11月2日 17時) (
レス) id: a8b4b5bef5 (このIDを非表示/違反報告)
葵羽(プロフ) - 獪岳の存在が気になりはじめたのはぱんこさんのおかげです！更新楽しみにまってます！応援してます！ (2020年3月23日 17時) (レス) id: bccf6ec4c9 (このIDを非表示/違反報告)
零華 - 初コメ失礼します！！。最&高のウィンウィンです！！(何いってんだろうか)更新再開するのを楽しみにしています！！。(*^^*)ｶﾞﾝﾊﾞﾚ! (2020年3月18日 7時) (レス) id: f56491ae0c (このIDを非表示/違反報告)
アムネ(プロフ) - すごく面白いです。続きが気になります！更新再開するのを願ってます。 (2020年1月8日 19時) (レス) id: 9a6a9cf4a1 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ - めっちゃ好きです！頑張ってください！ (2020年1月3日 15時) (レス) id: 57c609d2c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱんこ
| 作成日時：2019年10月16日 16時
