漆、『忽然と消えて』 ページ7
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足早いな、と。成長期の男の子って凄いよね。
そんな事を思います弱冠7歳小娘、中身は10代後半のハチャメチャ人間。
あの後「お兄ちゃん！！」と自分でもびっくりするくらい大きな声を出して、直ぐ彼の背を追いかけた。後ろの声はガン無視して、ただ彼の後を追う。
しっかしまあいないよね。後ろを追いかけてた筈なのにもう見失ってさぁ、そういや私まあまあ鈍足だったわ。駆けっこはドンケツか下から二番目程度でした。己の力不足を嘆くばかりである。
いない。いなくなってしまった、私の兄。
ただただ呆然とする。
＿＿＿＿＿＿日が暮れたら森には入っては行けない
＿＿＿＿＿＿鬼に食べられてしまうぞ
ふと、悲鳴嶼さんがそう言っていたのを思い出した。
いや鬼て。悲鳴嶼さんくらいの年でもそういうのを信じちゃうのねと心の中で笑っていたのを思い出した。
然しだ。やけに胸騒ぎがする。
木々が揺れ、鬱蒼とした森の中。昼間の雰囲気と打って変わって薄暗く、まるで別世界に閉じ込められたかのようなこの空間。少しだけ身震いする。
「(……、お兄ちゃん)」
どうする事も出来ず、ただ彼の消えた方向を見つめる。
「獪岳くん、」
遠くの方で、獣の鳴き声が聞こえたような気がした。
「獪岳はどうしたんだ？」
その夜。帰って来たらしい悲鳴嶼さんがいつものように「鬼避け」の為に寺の周辺に藤の花の香炉を焚きながらそう問いかけて来た。
言い淀んだ私が言うより早く、「獪岳はもう眠ったよ」と、何でもないように少年は答えた。私を睨みつけながら、まるで「余計な事を言うなよ」と言わんばかりに。
周りを見る。みんな同じような目で私を見ていた。
「(……こっわ)」
こんな無情な統制が取れるのも家族愛の為せる技なのか、そんな事をぼんやり考えた。
何も知らない悲鳴嶼さんは「そうか」と返す。1人の子供が消えたとは毛程も気付かぬ様子も無く、穏やかに笑っていた。
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�桟鈬�(プロフ) - コメ失礼します！メチャクチャ好きです！！(唐突)更新頑張ってください！ (2020年11月2日 17時) (
レス) id: a8b4b5bef5 (このIDを非表示/違反報告)
葵羽(プロフ) - 獪岳の存在が気になりはじめたのはぱんこさんのおかげです！更新楽しみにまってます！応援してます！ (2020年3月23日 17時) (レス) id: bccf6ec4c9 (このIDを非表示/違反報告)
零華 - 初コメ失礼します！！。最&高のウィンウィンです！！(何いってんだろうか)更新再開するのを楽しみにしています！！。(*^^*)ｶﾞﾝﾊﾞﾚ! (2020年3月18日 7時) (レス) id: f56491ae0c (このIDを非表示/違反報告)
アムネ(プロフ) - すごく面白いです。続きが気になります！更新再開するのを願ってます。 (2020年1月8日 19時) (レス) id: 9a6a9cf4a1 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ - めっちゃ好きです！頑張ってください！ (2020年1月3日 15時) (レス) id: 57c609d2c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱんこ
| 作成日時：2019年10月16日 16時
